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まだ見ぬ世界へ

第5章 さよならの恋人

「う…嘘だろ」

固まったまま動かない翔くん。

「マジか!」

目を見開いて驚く潤くん。

「リーダぁぁぁぁ!」

大声を上げて勢いよく抱きつく相葉さん。


こんな時でも客観的な自分に不思議というか……ここまでくると呆れるレベル。


「ちょっと、相葉ちゃん!離れて…っ」

相葉さんの熱烈な抱擁から逃れようと必死にもがくけど、相バカ力に勝てる訳がない。

「嬉しいのはわかるけど、いい加減に離れなさい」

「ちぇっ、わかったよ」

翔くんの言う事なら素直に従う相葉さん。

「久しぶり、大野くん」

「えっ、あ…うん、ひさし…ぶり」

こんな時でもちゃんとしている翔くんにさすがのリーダーも戸惑ってる。

「ホント、おせーんだよ」

強めに潤くんが背中を叩き押すと、身体がふらついて俺の前まで来た。


そして目が合った。


翔くんと相葉さんと潤くんが静かに俺たちを見守っている。


何か言わなきゃって思うのに……言葉が出ない。


「誤解のないように言わせてもらいますけど、あのメッセージは嘘だからね」

沈黙の続く俺たちにしびれを切らしたのか、翔くんが話し始めてくれた。

「可愛いって言うのは……嘘じゃないかも」

「こわっ、めっちゃ睨んでるし」

完全にリーダーのリアクションを面白がっている相葉さんと潤くん。


「簡単な嘘に引っかかるくらいニノの事が気になるんだったらちゃんと会って話をしなきゃダメでしょ?」

「休止したからって、会っちゃダメなんてこと……ないでしょ?」

リーダーを諭すように翔くんと相葉さんが語り掛ける。

「ニノも我慢せずにちゃんと言いたい事は言わなきゃダメだぞ」

潤くんが俺に優しく語りかけてくれる。


ずっと俺たちの関係を静観してくれた3人。

でも今はこうやって……背中を押してくれる。


ホント、どこまで俺らに甘いの?


「じゃあ、俺らは一旦……退室ってことで」

ニコッと笑って個室を出る3人の背中を見つめながら『ありがとう』って心の中で伝えた。

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