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まだ見ぬ世界へ

第6章 俺の名は

【潤(ニノ)side】()……中身


食事も早々に切り上げて潤くんの家へと急ぐ。

相葉さんに捕まったら帰りが遅いのは経験上わかっていたけど、早く会いたいって思ったら行動せずにはいられなかった。


翔ちゃんは『またダメだったら慰めてやるよ』って温かく俺を送り出してくれた。


もちろん潤くんとしてね。


でもその気遣いに『ありがとう』って言ったのは潤くんを演じたわけじゃなく、素直な俺の気持ち。


ずっと潤くんの想いを聞いてくれていた。

ずっと潤くんの恋を応援してくれていた。


だからこそ潤くんは俺のことを今まで好きでいてくれた。


色々と疑って……ゴメンね。


でも次の報告の時は慰めるんじゃなくて、きっと喜んでくれるはず。

そしてそれは翔ちゃんも同じ。


確信を持って『翔くんも大丈夫だよ』って言ったら、自信がないのか益々なで肩になったてた。

その気持ちは痛いくらいわかる。

俺もずっとそうだったから。


でも大丈夫。

絶対に上手くいく。


だって俺は、翔ちゃんが好きな人の気持ちを知ってるからね。


でもそれは教えてあげない。


ちょっと意地悪かもしれないけど、俺たちには出来なかった形で2人には互いの気持ちを知って欲しい。

俺は潤くんの気持ちを知っている。

そしてたぶん潤くんも俺の気持ちを知っているはず。


俺は潤くんの気持ちに確信を持った状態で告白して、付き合う事になる。

でもそれは知らない状態で告白して恋が実った時の嬉しさにはきっと勝てないと思う。


気持ちを伝えることは緊張するかもしれない。

気持ちを伝えることは不安かもしれない。


でもきっとその分、喜びはひとしおだと思うよ。



だから翔ちゃん……頑張って。



後出しじゃんけんの俺だけど、ちゃんと気持ちは伝えるから。


帰ってきたらすぐに……

1分一秒でも早く……



『好きだ』って潤くんに伝えたい。



ガチャ…


ドアが開いた音が聞こえた瞬間、俺は玄関へと走った。

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