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まだ見ぬ世界へ

第6章 俺の名は

【ニノ(潤)side】()……中身


『さっさと松潤に会いに行きな』って半ば強引に店から相葉くんに追い出されて家に帰る。

ニノが帰ってきている確証はないし、『帰ってきてる』って連絡もない。


でも早く……会いたい。


その気持ち身体と連動して、足早にさせる。


『次はいい報告を待ってるよ』って笑顔で俺を見送ってくれた相葉くんに俺は『ありがとう』って言った。

『教えません』なんてツンケンな態度を取ると思っていたのか、『珍しいね』と言って驚いていた。

そうしなきゃとは思ったんだけど、出来なかった。


だって演技じゃなくて……俺は素直な気持ちを伝えたかった。


最近仲良くしてた事に嫉妬が無いとは言えない。

でも今日、相葉くんとこうやって話していて知ったんだ。


ずっと相葉くんはニノの恋の応援をしてくれていた。

相葉くんが話を聞いてくれたから、ニノは俺への想いを断ち切らなかったし、ずっと想い続けてくれていた。


悔しいけど……きっと相葉くんにしか出来なかった。


でもその役目はもう終わらせるから。

そしてそれはニノも同じ。


『相葉さんも健闘を祈るよ』ってちょっと上から目線で帰り際に言ったら『後悔しない様に当たって砕ける』って親指を立てて見せた。

『砕けちゃダメでしょ』って笑ってツッコんでおいたけど、砕ける心配はない。


だって俺は相葉くんが好きな人が相葉くんの事をどう思っているか知っている。

だけど今は『ニノ』だから、その事を伝えることはできないし、もちろん伝えるつもりもない。


一歩、踏み出すこと……それはとてつもなく怖い。

でもちゃんと相葉くん自身で一歩を踏み出して欲しい。


俺には……出来なかったから。


その先の喜びはきっと俺以上だから……頑張れ。


そして俺もニノの気持ちは知ったけど……ちゃんと言葉で伝える。



ニノが『好き』だって……



ドアを開けるとすでに照明がついた明るい廊下。

そこをバタバタと走ってくる俺が飛び込んできたので、しっかりとその身体を受け止めた。

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