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まだ見ぬ世界へ

第6章 俺の名は

【潤side】


普段は冷静沈着な翔くんが慌てているのを見ているのは楽しいけどこれ以上したらあとが怖い。


でも今回ばかりは大丈夫だと思うんだけどね?


翔『乗ってきたの車はどうすんだよ』

ニ『あっ、それは俺が運転して帰りますから心配無用です。潤くんの家に行く予定もありましたし』

相『俺との約束はどうするんだよ。色々、話聞きたかったのに』

口を少し尖らせて拗ねる相葉くん。


昨日の今日だから相葉くんも……もちろん、翔くんも聞きたい事は山ほどあるだろ。

言ってみたら俺たちはその手に関しての先輩になる。

けど気持ちを今日伝えれば1日にも満たない差になる。


すぐに俺たちと同じ幸せが待っている。


ニ『それはまた明日って事で』

相『だって……』

ニ『もう、煩い口ですね。もっと他に言う事あるでしょ』

逃げ腰な発言の続く相葉くんの口にから揚げを押し込んだ。

「翔くん、覚悟……決めな」

翔『えっ?』

小競り合いを続ける2人を見つめる翔くんはちょっとだけ羨ましいって顔してる。


まぁ、わからなくもない。

俺だって同じ気持ちの時があった。


でも今はそう思わない。


ちゃんとニノの気持ちが誰に向いているかわっているから。


「大丈夫、きっと……大丈夫だから」

翔『その自信はどこからくんだよ』

「さーね。でも翔くんだって同じだったじゃん。俺にずっと『大丈夫』だって言ってくれたじゃん。だから俺、頑張れたんだよ」

昨日、俺の中にいるニノが翔くんに感謝を伝えていた。

でも俺自身からはまだだからね。


ありがとう、翔くん。


翔『そうだな……俺も男、見せなきゃな』

気合を入れるように俺の残っていたビールを勢いよく飲み干した。

「ほーら、そろそろ俺のニノ返してな」

ニ『じゅ、潤くん…っ』

後ろからニノをギュッと抱きしめると饒舌だったニノの言葉がピタッと止まる。

「じゃ、お先に」

驚く相葉くんを尻目に俺はニノの手を引いて出ていった。


相葉くんもきっと、今見えたニノの様に照れながらも幸せに笑えるからね?

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