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まだ見ぬ世界へ

第6章 俺の名は

【ニノside】


「もー、恥ずかしいじゃん」

車の運転席に座ると、助手席に座る潤くんにクレームをつけた。

潤『ごめんごめん、そうでもしなきゃ帰れないと思ったし、見せつけたかったんだよね。嫌だった?』

「嫌じゃ…ない」

クスッと笑いながら謝る潤くんにきっと俺の気持ちは完全に読まれている。


恥ずかしかっただけで、嫌じゃない。

寧ろ……嬉しかったりもする。


あの2人の前なら俺たちが恋人だって事を隠さなくていい。

それって俺たちにとっても、翔ちゃんと相葉さんにとっても由唯一の存在なんだよね。


「上手くいくといいね」

潤『絶対に上手くいくよ。告白、すればね』

「うーん、そこが最難関だよね」

潤『でも大丈夫じゃないかな?お膳立てはしたんだし』


そう、俺たちは告白に向けての環境を整えた。


翔さんは変に真面目で、行動に移すごとが出来ないと困るから、潤くんの飲みの席でお酒を飲んでもらった。

逆に相葉さんは緊張を解そうとお酒をグビグビ飲んでしまい、眠くなっちゃうと困るので飲ませないようにした。


『明日の報告を楽しみに待とうぜ。それに俺たちも報告しなきゃだし』

「えっ?何の報告?」

『帰ってからする事の……報告』

「な…っ」

身を乗り出して吐息交じりで耳元で囁かれると、カッと身体が熱を帯びる。

「車、出すよ!」

俺は誤魔化すようにペダルを踏んで、車を発進させた。

『なに?そんなに早く帰りたいの?』

「ち、違う!」


もう潤くんには敵わない。

でもそんな風に振り回される自分も嫌じゃないって思う。


潤『今頃、告白してっかな?』

「翔くんヘタレだからまだなんじゃない?」

潤『でもここまでして告白しなかったら、もうチャンスないぞ』

「じゃあ、俺たちみたいに入れ替わればいいんじゃない?」


潤『それ、いいかも』

冗談交じりの会話に俺たちはクスクス笑った。


まぁ、俺たちみたいにそんな都合よくある意味で奇跡みたいな事……起こらないよね。

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