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まだ見ぬ世界へ

第7章 生涯何があっても愛する人へ

【ニノside】


「ぅ…ん」

ゆっくりと瞼を開けると、大きな天井が目に入る。

そして身体には布団の温かみはあるけど、意識を手放すまであった温かみはなくなっていた。

『あー、それわかるわ』
『でしょー?』

そして少し離れたところから聞こえてきた翔ちゃんと相葉さんの声。

『リーダー、それとって』
『はーい』

そしてキッチンからはリーダーと潤くんが朝食を準備しているような会話が聞こえてきた。


当たり前だけど、それぞれの場所には俺という存在はない。

そして俺という存在がなくたって何の問題もない。


でもそれが無性に寂しくなる時がある。


『ねぇ、そろそろ起きるんじゃない?』

潤くんがたぶん、翔ちゃんと相葉さんに向けて声をかけている。

『あー、様子……見てみよっか?』

翔ちゃんの返事のあと、足音が近づいてきたので俺は慌てて瞼を閉じた。

『ふふっ、可愛い寝顔してるね』

相葉さんの声と共に髪を優しく撫でられた。

『もうちょっと寝かせてあげる?』

『まだ仕上げまではしてないから大丈夫だよ』

リーダーの提案でまだ俺は寝かせてもらえるみたい。

きっと潤くんもまだ俺が起きないから最後までしなかったんだと思う。

『さっきさ、翔ちゃんと話してたけど昨日のカズは可愛かったよね』

『ホントさ、素直なカズって滅多にないじゃん。あれが毎回だったら、俺止まんないよ』

『翔ちゃんは普段だって止まんないじゃん』

『それはリーダーも同じでしょ?無駄に体力あるんだから』

寝ている俺の周りで繰り広げられる、ちょっと恥ずかしい話。


そこには実際には俺が存在しないけど、ちゃんと4人の中には俺という存在がいた。


さっきの翔ちゃんと相葉さんの会話だって、食事の準備をするリーダーと潤くんの中にも『俺』という存在があったんだ。

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