まだ見ぬ世界へ
第2章 愛のカタマリ
「なぁ、兄貴だけなんだよ。俺の気持ちを断ち切れるのは……」
潤が馬乗りになっている翔兄の太腿に拳を何度も叩きつける。
「潤、止め……」
「カズ、いい。いいから……」
翔兄が俺の言葉を遮ると、太腿と叩きつける潤の手を止める事なくジッと見つめている。
「わかんねーよ。俺が欲しいモノ……どんなに頑張っても手に入れられないモノが手の届くところにあるのに……」
叩き潰していた拳がピタッと止まると、潤は翔兄を見つめた。
「逃げる必要が……どこにあんだよっ!」
静かな空間に響いた潤の悲痛な叫び声。
そして潤の頬を伝った一筋の涙。
「情けない話だよ。ホントはさ……どんな手段を使ったってって息巻いてたんだけど、結局カズにとって俺は兄貴のような存在にはなれなかったし、勝てなかった」
潤が苦笑いを浮かべると、なぜか漂っていた雰囲気が少しだけ和んだ気がした。
「いつまで経っても兄貴は目の上のたんこぶだよ」
「……当たり前だ、なんたって俺は兄貴だからな」
トンっと軽く潤の胸に拳をぶつけた。
「でも今回は俺の負けだ。潤……お前はカッコいいよ」
クシャっと潤の頭を撫でる姿に昔を思い出す。
何かと翔兄と張り合っていた潤。
でもいつも勝つのは翔兄で毎回悔しがって泣いていた。
そんな潤にいつもこうやって翔兄は優しく接していた。
「カッコいいのはわかってるから」
スッと潤は立ち上がると俺の事を見下ろした。
「こんなイケメンの俺を振るなんて勿体無いぞ、カズ」
潤が俺に手を伸ばす。
その手を……握ってもいいの?
「これが最後だから」
潤が切なげに微笑んだ。
俺ももう逃げちゃダメなんだ。
潤からも……
そして翔兄からも……
手を伸ばすとギュッと握りしめて潤は俺を立ち上がらせた。
「兄貴は自分で立てよ。あと……殴ったことは謝んねーから」
潤は俺たちの部屋じゃなく、翔兄の部屋へと入っていった。
潤が馬乗りになっている翔兄の太腿に拳を何度も叩きつける。
「潤、止め……」
「カズ、いい。いいから……」
翔兄が俺の言葉を遮ると、太腿と叩きつける潤の手を止める事なくジッと見つめている。
「わかんねーよ。俺が欲しいモノ……どんなに頑張っても手に入れられないモノが手の届くところにあるのに……」
叩き潰していた拳がピタッと止まると、潤は翔兄を見つめた。
「逃げる必要が……どこにあんだよっ!」
静かな空間に響いた潤の悲痛な叫び声。
そして潤の頬を伝った一筋の涙。
「情けない話だよ。ホントはさ……どんな手段を使ったってって息巻いてたんだけど、結局カズにとって俺は兄貴のような存在にはなれなかったし、勝てなかった」
潤が苦笑いを浮かべると、なぜか漂っていた雰囲気が少しだけ和んだ気がした。
「いつまで経っても兄貴は目の上のたんこぶだよ」
「……当たり前だ、なんたって俺は兄貴だからな」
トンっと軽く潤の胸に拳をぶつけた。
「でも今回は俺の負けだ。潤……お前はカッコいいよ」
クシャっと潤の頭を撫でる姿に昔を思い出す。
何かと翔兄と張り合っていた潤。
でもいつも勝つのは翔兄で毎回悔しがって泣いていた。
そんな潤にいつもこうやって翔兄は優しく接していた。
「カッコいいのはわかってるから」
スッと潤は立ち上がると俺の事を見下ろした。
「こんなイケメンの俺を振るなんて勿体無いぞ、カズ」
潤が俺に手を伸ばす。
その手を……握ってもいいの?
「これが最後だから」
潤が切なげに微笑んだ。
俺ももう逃げちゃダメなんだ。
潤からも……
そして翔兄からも……
手を伸ばすとギュッと握りしめて潤は俺を立ち上がらせた。
「兄貴は自分で立てよ。あと……殴ったことは謝んねーから」
潤は俺たちの部屋じゃなく、翔兄の部屋へと入っていった。