まだ見ぬ世界へ
第8章 幸福論【再会】
「三田園さんの言う通り、少し休め。その後でもまた話せるだろ?」
「ホントに?もう……出て行かない?」
和也は俺を繋ぎ止めようとするかのようにスーツの袖をギュッと掴んだ。
「行かない……かな」
鼻を触りながら答えた。
和也を安心させるためには嘘をつけばいいのかもしれないけど、俺の嘘はすぐにバレる。
できれば俺もここにいたい。
でもまたあの日の過ちが、起こらないとも限らない。
俺は『α性』で和也が『Ω性』である以上は。
「そっか。そう……だよね」
俺の曖昧な返事の理由がわかるのか、和也はスーツを掴んでいた手を離した。
「でも、ちゃんと和也が起きた時にはそばにいるからな」
クシャっと髪を撫でると、和也は嬉しそうに笑って頷いた。
『その先』なんて誰にもわからない。
でも『すぐ先』のことなら約束を守れるんじゃないかって思った。
そしてこうやって和也の笑顔が見れるなら、例え些細な事だって約束する。
他の人にとって何の意味のないものだって、俺たちにとっては2人の時間を繋ぐものだから。
「では……紅茶をお入れしますね」
そう言って素早く準備を済ませると、三田園さんは部屋から出ていった。
そして他愛もない話をしながら紅茶を飲んでいると、身体が温まってより眠気が増したのか、和也の目がトロンとし始めた。
「ベッド、そろそろ入るか?」
「うん…そうする」
目を擦りながらベッドの方へ歩き出した。
「あっ、その前に着替えろよ。スーツ、皺だらけになるから」
「わかった。じゃあ、兄さんも着替えたら?」
「あぁ、そうするよ」
「着替えたら、すぐに戻ってきてよ!」
「わかったよ」
グイッと残っていた紅茶を飲み干し、和也の髪をクシャっと撫でると俺も着替えるために部屋へと戻った。
「ホントに?もう……出て行かない?」
和也は俺を繋ぎ止めようとするかのようにスーツの袖をギュッと掴んだ。
「行かない……かな」
鼻を触りながら答えた。
和也を安心させるためには嘘をつけばいいのかもしれないけど、俺の嘘はすぐにバレる。
できれば俺もここにいたい。
でもまたあの日の過ちが、起こらないとも限らない。
俺は『α性』で和也が『Ω性』である以上は。
「そっか。そう……だよね」
俺の曖昧な返事の理由がわかるのか、和也はスーツを掴んでいた手を離した。
「でも、ちゃんと和也が起きた時にはそばにいるからな」
クシャっと髪を撫でると、和也は嬉しそうに笑って頷いた。
『その先』なんて誰にもわからない。
でも『すぐ先』のことなら約束を守れるんじゃないかって思った。
そしてこうやって和也の笑顔が見れるなら、例え些細な事だって約束する。
他の人にとって何の意味のないものだって、俺たちにとっては2人の時間を繋ぐものだから。
「では……紅茶をお入れしますね」
そう言って素早く準備を済ませると、三田園さんは部屋から出ていった。
そして他愛もない話をしながら紅茶を飲んでいると、身体が温まってより眠気が増したのか、和也の目がトロンとし始めた。
「ベッド、そろそろ入るか?」
「うん…そうする」
目を擦りながらベッドの方へ歩き出した。
「あっ、その前に着替えろよ。スーツ、皺だらけになるから」
「わかった。じゃあ、兄さんも着替えたら?」
「あぁ、そうするよ」
「着替えたら、すぐに戻ってきてよ!」
「わかったよ」
グイッと残っていた紅茶を飲み干し、和也の髪をクシャっと撫でると俺も着替えるために部屋へと戻った。