まだ見ぬ世界へ
第8章 幸福論【再会】
和也がプレゼントに選んでくれたのやっぱり絵具だった。
昔から俺は物欲というものがない。
初めて和也に『誕生日、何が欲しい』って聞かれて考えた時、絵具は消耗品で補充してもすぐになくなってしまうから『絵具』と答えた。
それから何年かは欲しいもの聞いてくれたけど、答えはいつも同じで、いつからか聞かれなくなった。
他の人から見れば毎年同じって思われるかもしれないけど俺にとっては最高のプレゼントだ。
「でもこれ、高かったんじゃないのか?」
いつもはアクリル絵の具だったけど、今回は油絵具でそれも30色セット。
ただでさえ油絵具は値段が高いのにセットとなると値が張る。
「何年か渡せてなかった分も上乗せしたの。でも奮発したんだから大切に使ってよ」
「もちろん!使うのがもったいないくらいだよ」
「使わなきゃ、意味ないじゃん」
「ははっ、そうだな」
口を尖らせて拗ねる和也の姿に思わず笑ってしまった。
「じゃあ、この絵の具で描いた絵……一番に和也に見してやる」
「えっ?ホントに?」
目を輝かせながら喜ぶ和也に俺は笑顔でコクコクと頷いた。
「やったぁ!嬉しい……ありがとう、兄さん」
目を細め。、満面の笑みを俺に向ける和也。
あぁ……いつぶりだろう。
可愛いとさえ思えてしまう、この笑顔を見たのは。
そしてその姿は俺が描きたかった和也そのもの。
「俺こそ……ありがとう、和也」
和也の髪をクシャっと撫でると、俺のお礼の意味がわかっていないのか『なんで?』とばかりに首を傾げて見せた。
「ほーら、そろそろ寝るぞ」
「うわっ、もう……急に押さないでよ」
俺は背中を押してベッドへと和也を向かわせた。
あんなことをした俺を受け入れてくれた事。
そしてこうやって誕生日を祝ってくれた事。
何よりもまた……俺に笑顔を向けてくれた事。
だからこそ俺は今、決意した。
決してこの和也の笑顔を二度と奪わないと……
昔から俺は物欲というものがない。
初めて和也に『誕生日、何が欲しい』って聞かれて考えた時、絵具は消耗品で補充してもすぐになくなってしまうから『絵具』と答えた。
それから何年かは欲しいもの聞いてくれたけど、答えはいつも同じで、いつからか聞かれなくなった。
他の人から見れば毎年同じって思われるかもしれないけど俺にとっては最高のプレゼントだ。
「でもこれ、高かったんじゃないのか?」
いつもはアクリル絵の具だったけど、今回は油絵具でそれも30色セット。
ただでさえ油絵具は値段が高いのにセットとなると値が張る。
「何年か渡せてなかった分も上乗せしたの。でも奮発したんだから大切に使ってよ」
「もちろん!使うのがもったいないくらいだよ」
「使わなきゃ、意味ないじゃん」
「ははっ、そうだな」
口を尖らせて拗ねる和也の姿に思わず笑ってしまった。
「じゃあ、この絵の具で描いた絵……一番に和也に見してやる」
「えっ?ホントに?」
目を輝かせながら喜ぶ和也に俺は笑顔でコクコクと頷いた。
「やったぁ!嬉しい……ありがとう、兄さん」
目を細め。、満面の笑みを俺に向ける和也。
あぁ……いつぶりだろう。
可愛いとさえ思えてしまう、この笑顔を見たのは。
そしてその姿は俺が描きたかった和也そのもの。
「俺こそ……ありがとう、和也」
和也の髪をクシャっと撫でると、俺のお礼の意味がわかっていないのか『なんで?』とばかりに首を傾げて見せた。
「ほーら、そろそろ寝るぞ」
「うわっ、もう……急に押さないでよ」
俺は背中を押してベッドへと和也を向かわせた。
あんなことをした俺を受け入れてくれた事。
そしてこうやって誕生日を祝ってくれた事。
何よりもまた……俺に笑顔を向けてくれた事。
だからこそ俺は今、決意した。
決してこの和也の笑顔を二度と奪わないと……