テキストサイズ

まだ見ぬ世界へ

第9章 幸福論【初対面①】

「何かあればこちらからご連絡ください」

「はい、ありがとうございます」

「では、失礼します」

一通りの説明を終えて、スタッフの人は部屋を出ていった。

「すごい……ですね」

俺たちは中を見渡しながら呆気に取られていた。


パーティールームってなんか明るく派手なイメージだったけど、内装は落ち着いた雰囲気。

いや、落ち着いた雰囲気というより……


「完全に部屋だよね」

パーティールームっていうよりリビングルームって方があってるような部屋。

ベッドか?って思えるほど足がゆったり伸ばせる大きめのソファー。

そしてそこに座って見れるように正面にはテレビにレコーダー、ゲーム機もある。

もちろん映画などのDVDやゲームのカセットもたくさん。

少し離れたところにはテーブルがあって、食事もできるようになっていて、既にピザなどの軽食が用意されていた。

飲み物は冷蔵庫があってそこから自由に取れる。

その中にはジュースやお酒も入っていて、冷凍庫にはアイスクリーム。

隣の棚にはスナック菓子もいっぱい。

それでも足りないモノがあれば、電話一本で用意してくれるらしい。


まさに至れり尽くせり。


「ここにいたらダメ人間になりそう」

俺は靴を脱ぐと、大きなソファーに大の字で寝ころんだ。

「そうですね、引きこもっちゃいますね」

ちょこんと俺の隣に座った和也くん。

「でもなかなかできない経験だから、とことん楽しんでぐーたらしよっか」

ガバッと起き上がって和也くんの顔を覗き込んだ。

「そうですね」

「さて、何からする?あっ、お腹の減り具合は?」

「ちょっと減ってます」

「じゃぁ、先に食べよっか」

俺は立ち上がるとテーブルに向かった。

「あ、あの……良かったら、こっちで食べながらゲームしませんか?そんな事、滅多にできないかな…って」

遠慮がちに俺に提案してくれた和也くん。


俺はしたい事を伝えてくれて……嬉しいよ?


「それ、いいね!じゃあ……これ持って行こ!」

「はい!」

俺たちはテーブルに並べられている食べ物を運んだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ