まだ見ぬ世界へ
第9章 幸福論【初対面①】
「結局……負けた」
勝てなくて『あと一回』を何回か繰り返したけど、結局ダメだった。
「なにか飲みますか?」
飲み物を取りに行った和也くんが冷蔵庫を開けながら俺に声をかけてくれた。
「あ、うん。何にしよっかな?」
「お酒とか……飲みます?」
「んー、それは止めとく」
「お酒、飲めないタイプですか?」
「ううん、飲めるよ」
お酒は嫌いな訳じゃない。
寧ろ今、超飲みたい気分だけど……
何かもし起こった時に、さっと反応できないとヤバいかなって思う。
「じゃあ、これ……飲みます?」
戻ってきて俺に差し出してくれたのはノンアルコールビール。
「俺に気を遣ってくれてるんですよね。すみません」
「謝る事ないよ、気にしないで」
そう言っても、和也くんの表情は晴れないまま。
「って言っても……無理だよね」
受け取った缶のプルタブを開けると、ゴクッと一口飲んだ。
2人の賑やかな声が響いていた部屋に訪れた沈黙。
漂う雰囲気もさっきとは真逆。
決して居心地のいい状態ではない。
その状況を変えることはいくらだってできる。
でも今はしちゃいけないって思う。
きっとこれは、きっかけになる。
「あ、あの……ひとつ聞いてもいいですか?」
「なんでもどーぞ」
でも暗くなるのは違うと思うから、明るめに答えた。
「どうして……会おうと思ってくれたんですか?」
和也くんは両手で持っている缶を見つめならが聞いてきた。
「うーん、純粋にタイプだったから。和也くんのこと」
「えっ?」
予想外の答えだったのか、ビックリして俺の方に顔を向けた。
「勘違いしないでね。理由はそれだけじゃないし。寧ろ、そっちが大きな理由……かな」
今度は俺が下を向いてしまった。
その理由を話すとなると、俺の過去の出来事に触れざるを得ない。
今は違えど、俺が『Ω性』を見下していたという事実を……
勝てなくて『あと一回』を何回か繰り返したけど、結局ダメだった。
「なにか飲みますか?」
飲み物を取りに行った和也くんが冷蔵庫を開けながら俺に声をかけてくれた。
「あ、うん。何にしよっかな?」
「お酒とか……飲みます?」
「んー、それは止めとく」
「お酒、飲めないタイプですか?」
「ううん、飲めるよ」
お酒は嫌いな訳じゃない。
寧ろ今、超飲みたい気分だけど……
何かもし起こった時に、さっと反応できないとヤバいかなって思う。
「じゃあ、これ……飲みます?」
戻ってきて俺に差し出してくれたのはノンアルコールビール。
「俺に気を遣ってくれてるんですよね。すみません」
「謝る事ないよ、気にしないで」
そう言っても、和也くんの表情は晴れないまま。
「って言っても……無理だよね」
受け取った缶のプルタブを開けると、ゴクッと一口飲んだ。
2人の賑やかな声が響いていた部屋に訪れた沈黙。
漂う雰囲気もさっきとは真逆。
決して居心地のいい状態ではない。
その状況を変えることはいくらだってできる。
でも今はしちゃいけないって思う。
きっとこれは、きっかけになる。
「あ、あの……ひとつ聞いてもいいですか?」
「なんでもどーぞ」
でも暗くなるのは違うと思うから、明るめに答えた。
「どうして……会おうと思ってくれたんですか?」
和也くんは両手で持っている缶を見つめならが聞いてきた。
「うーん、純粋にタイプだったから。和也くんのこと」
「えっ?」
予想外の答えだったのか、ビックリして俺の方に顔を向けた。
「勘違いしないでね。理由はそれだけじゃないし。寧ろ、そっちが大きな理由……かな」
今度は俺が下を向いてしまった。
その理由を話すとなると、俺の過去の出来事に触れざるを得ない。
今は違えど、俺が『Ω性』を見下していたという事実を……