まだ見ぬ世界へ
第9章 幸福論【初対面①】
「そんな俺に両親はマッチングで選ばれた相手と幸せになるために向き合えと言ってくれました」
和也くんは俺を真っ直ぐに見つめる。
「そして父は俺に無かった選択肢を作ろうとしてくれた」
『君なら、その未来はなくなる。だからその選択肢を和也に与えてあげたいんだ』
そう言った社長の言葉を思い出した。
『Ω性の男』と『β性』との結婚。
そんな事、普通ではあり得ない選択肢だ。
付き合うって事すら考えられない事だ。
でも社長と話した時、そんな風にはなぜか思えなかった。
きっと社長は可能、不可能なんて考えていない。
『和也くんが幸せになる事』
ただただ、それだけを考えて行動した。
「雅紀さん、本当にありがとうございます」
「えっ?」
理由のわからないお礼に俺は戸惑う事しかできない。
「父の話を真剣に聞いてくれて、そして考えを知って、理解した上でここに来てくれた。雅紀さんが父が考えた……願った選択肢を俺に与えてくれたんです」
俺を見つめる和也くんの目に涙が溜まっていく。
「もちろん父がいたからこそだって事はわかってます。それでも……それでも『Ω性の男』の俺に雅紀さんは会ってくれて、ちゃんと向き合ってくれようとしてくれている」
和也くんが瞬きをした瞬間、目尻から涙が零れ落ちた。
「こんな俺なんかの……俺なんかのために」
「そんな言い方したら、社長が悲しむよ?」
和也くんの顔に手を伸ばして、指で涙を優しく拭った。
「和也くんだからこそ社長は色々と考えて行動してくれてるし、俺も社長からの話を聞いてここに来た。でもここに居続けるのは、社長の想いと一緒だよ」
「一緒?」
「和也くんだからこそだよ。嫌なヤツだって思ったら、ここにいないよ」
クスッと笑って見せると、和也くんも笑ってくれた。
「それは俺も同じです」
俺の目を見てそう迷わずに断言してくれた事が嬉しかった。
和也くんは俺を真っ直ぐに見つめる。
「そして父は俺に無かった選択肢を作ろうとしてくれた」
『君なら、その未来はなくなる。だからその選択肢を和也に与えてあげたいんだ』
そう言った社長の言葉を思い出した。
『Ω性の男』と『β性』との結婚。
そんな事、普通ではあり得ない選択肢だ。
付き合うって事すら考えられない事だ。
でも社長と話した時、そんな風にはなぜか思えなかった。
きっと社長は可能、不可能なんて考えていない。
『和也くんが幸せになる事』
ただただ、それだけを考えて行動した。
「雅紀さん、本当にありがとうございます」
「えっ?」
理由のわからないお礼に俺は戸惑う事しかできない。
「父の話を真剣に聞いてくれて、そして考えを知って、理解した上でここに来てくれた。雅紀さんが父が考えた……願った選択肢を俺に与えてくれたんです」
俺を見つめる和也くんの目に涙が溜まっていく。
「もちろん父がいたからこそだって事はわかってます。それでも……それでも『Ω性の男』の俺に雅紀さんは会ってくれて、ちゃんと向き合ってくれようとしてくれている」
和也くんが瞬きをした瞬間、目尻から涙が零れ落ちた。
「こんな俺なんかの……俺なんかのために」
「そんな言い方したら、社長が悲しむよ?」
和也くんの顔に手を伸ばして、指で涙を優しく拭った。
「和也くんだからこそ社長は色々と考えて行動してくれてるし、俺も社長からの話を聞いてここに来た。でもここに居続けるのは、社長の想いと一緒だよ」
「一緒?」
「和也くんだからこそだよ。嫌なヤツだって思ったら、ここにいないよ」
クスッと笑って見せると、和也くんも笑ってくれた。
「それは俺も同じです」
俺の目を見てそう迷わずに断言してくれた事が嬉しかった。