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まだ見ぬ世界へ

第2章 愛のカタマリ

フーッと深呼吸するとインターフォンのボタンを押した。

家の中から漏れ聞こえた籠ったチャイムの音と、バタバタと近づいてくる足音に一歩引いてドアが開くのを待つ。

ガチャっという音とフワッと風が当たり、ドアが開いたのがわかって顔を上げる。

「やっほー!」

「……誰、です…か?」

出て来たのは翔兄では無くてこれまた茶髪の細身で長身の人。

「あっ、俺?相葉雅紀」

目を細めて満面の笑みを俺に向ける。


相葉……雅紀さん?


えっ、嘘……部屋、間違えた?


「すっ、すみません!間違えました!」

「おいっ、違う!待て!」

「しょ…翔兄?」

頭を下げたまま立ち去ろうとしたら、どこからか伸びてきた翔兄の腕が俺を掴んで引き留めた。

「おい、勝手に出るんじゃねーよ!」

「えー、いいじゃん。だって帰っちゃったら困るでしょ?」

「トイレにいても聞こえるから出るわ!」

「あー、もしかして……緊張してる?」

「ちげーわ」

仲良さげに話す姿を見て、どうやら相葉さんとは友達みたい。

「あっ、あの……」

玄関で長話をするのもって思って、話に割って入った。

「わりぃ、こいつ大学の友達で相葉雅紀」

「それはさっき言ったよねー?」

ニコッと笑いながら小首を傾げる相葉さんにコクコクと頷く。


悪い人では……ないのかな?


「にしても……翔が言うだけあってホント可愛いね!」

マジマジと至近距離で俺の顔を見つめてくる。

「あっ、えっ…と」

どうしたらいいかわからなくて、翔兄に助けを求めるように目線を送った。


「おい、雅紀」

「ちょっと、離してよ!冗談だってば」

首根っこを掴んで俺から相葉さんを引き離す翔兄。

「もうカズくんの事になるとマジになるんだから。そんな翔も可愛いよ」

「お前、いい加減に……」

「じゃあ、邪魔者は帰りまーす。じゃあね、カズくん」


ウィンク……したかったのかな?


両目をパチッと閉じて見せると、ヒラヒラと手を振って風の様に相葉さんは去っていった。

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