まだ見ぬ世界へ
第10章 想いを紡ぐ
その姿を見た俺は、どうしてもその子の涙を止めたかった。
何かいい方法はないか……
俺は必死に無い知恵を絞って考えた。
「そうだ!」
「えっ?」
ビックリした顔で俺を見た。
「その首輪……」
少しボロボロになった赤い首輪。
「ハルがつけてたの。ぼくがえらんだ……」
「じゃあ、その首輪ここに埋めよ?」
桜の木の下の地面を指差した。
「ここに?」
「うん。そしたらハル、いつでも桜の木見れるよ?」
「うん」
いつの間にか涙は止まって、嬉しそうに俺を見て笑ってくれた。
小さな手で必死に地面を掘った。
ジワジワとオデコから汗が出てくる。
その度にドロドロになった手拭いていたから、掘り終わるころには俺たちの顔は泥まみれになっていた。
「これくらいなら大丈夫。入れて」
「うん」
大事そうに首輪を穴の中に置いき、ゆっくと土を元に戻していった。
その後、俺たちは泥だらけの手を合わせ目を閉じた。
「ハル、さくらみれてるかな?」
「きっと、見えてるよ」
「ありがとう、さとし」
「お前、呼び捨てすんなよ!」
全く悪気のない顔で笑っているから、許してやるか。
「そう言えば、名前聞いて……」
「智、何やってるの!」
ヤバい、母ちゃんの声だ!
恐る恐る振り返ると、階段を上り切った辺りで仁王立ちしていた。
「買い物しないで、どこウロついてる!」
「ゴメン、帰るな?」
その場を離れようとしたとき、グッと手を掴まれた。
「また、あえる?」
寂しそうに俺を見た。
「うん、会えるよ」
「またハルといっしょにさくらみてくれる?」
「もちろん。じゃあ桜が咲くころまたここで会おうね」
「うん、やくそくだよ」
俺に小指を差し出した。
俺もその小指に指を絡ませ、指切りをした。
「じゃあね」
俺は母ちゃんの元へ駆け寄っていった。
「やくそくだよー」
その約束を俺は果たせなかった。
小学校を卒業した日、満開の桜を見るとなく
俺はこの地を離れてしまった。
あの子にはきっと……もう会えない。
何かいい方法はないか……
俺は必死に無い知恵を絞って考えた。
「そうだ!」
「えっ?」
ビックリした顔で俺を見た。
「その首輪……」
少しボロボロになった赤い首輪。
「ハルがつけてたの。ぼくがえらんだ……」
「じゃあ、その首輪ここに埋めよ?」
桜の木の下の地面を指差した。
「ここに?」
「うん。そしたらハル、いつでも桜の木見れるよ?」
「うん」
いつの間にか涙は止まって、嬉しそうに俺を見て笑ってくれた。
小さな手で必死に地面を掘った。
ジワジワとオデコから汗が出てくる。
その度にドロドロになった手拭いていたから、掘り終わるころには俺たちの顔は泥まみれになっていた。
「これくらいなら大丈夫。入れて」
「うん」
大事そうに首輪を穴の中に置いき、ゆっくと土を元に戻していった。
その後、俺たちは泥だらけの手を合わせ目を閉じた。
「ハル、さくらみれてるかな?」
「きっと、見えてるよ」
「ありがとう、さとし」
「お前、呼び捨てすんなよ!」
全く悪気のない顔で笑っているから、許してやるか。
「そう言えば、名前聞いて……」
「智、何やってるの!」
ヤバい、母ちゃんの声だ!
恐る恐る振り返ると、階段を上り切った辺りで仁王立ちしていた。
「買い物しないで、どこウロついてる!」
「ゴメン、帰るな?」
その場を離れようとしたとき、グッと手を掴まれた。
「また、あえる?」
寂しそうに俺を見た。
「うん、会えるよ」
「またハルといっしょにさくらみてくれる?」
「もちろん。じゃあ桜が咲くころまたここで会おうね」
「うん、やくそくだよ」
俺に小指を差し出した。
俺もその小指に指を絡ませ、指切りをした。
「じゃあね」
俺は母ちゃんの元へ駆け寄っていった。
「やくそくだよー」
その約束を俺は果たせなかった。
小学校を卒業した日、満開の桜を見るとなく
俺はこの地を離れてしまった。
あの子にはきっと……もう会えない。