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まだ見ぬ世界へ

第10章 想いを紡ぐ

「あっ……えっ?」


目の前に映し出された光景は、俺が想像していたモノとは全く違った。


「いきなり入って来ないでくれる?」

ニヤニヤしながら俺を見る櫻井先生。

2人は一緒に並んで立っていて、ズボンは……履いてる。


櫻井先生のアソコは……反応してない。


「ちょっと、どこ見てんだよ!」

手で股間を隠している。

「だって、さっきの声って……」

「イヤラしい……聞き耳立ててたの?」

ジト目で俺を見る。


イヤラしいのはお前だろーが。


「ちげーわ、聞こえたんだよ!」


確かに聞こえたんだ。

大きいやら、ヌルヌルしているやら……


『ゲロッ』


……ゲロッ?


2人が立っている前にある水槽の中には大きな蛙が入っていた。


蛙にしては大きい。

蛙の皮膚はテカっていてヌルヌルしてそう。


「こっ……コイツの事?」

「何が?」

終始、俺の言葉にニヤついてやがる。


俺をハメやがったな。


「どういう事か説明しろ!」

思わず目の前にある机を叩いてしまった。

「俺は二宮くんに協力しただけ」

櫻井先生は動揺することなく淡々と話す。

「協力?」

「詳しくは二宮くんに聞いて?」

「二宮に?」

「そう。ちゃんと言えるか?」

櫻井先生の声は今まで聞いた声とは違い、優しい口調で、新たな一面を見た気がした。


二宮は下を向いたまま、櫻井先生の問いかけに黙って頷いた。

そして、クシャっと櫻井先生が二宮の髪を撫でる。


まただ。

何でだろう?


櫻井先生が何気なく二宮に触れただけなのに、イライラするんだ。


そんな俺の横を櫻井先生が通り過ぎる時、ポンと肩を叩いた。

櫻井先生の方に顔を向けると、眉間の辺りに指を当て、グリグリし始めた。

「何すんだよ!」

咄嗟に櫻井先生の手を振り払った。

「イライラしてんでしょ?眉間に皺が出来てる」

「えっ?」

「どうしてイライラしてるか分かる?」

「……わかんないよ」

俺の言葉を聞いて櫻井先生は大きな溜め息をついた。

「二宮くん、頑張れよ」

ヒラヒラと手を振りながら準備室を出て行った。


ホント、どこまでも爽やかなヤツだ。

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