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まだ見ぬ世界へ

第11章 アイツは可愛い年下の男の子

「いただきまーす!」

素早く手を合わせると、早速パクッと一口。

「うんめぇ~!マジ、最高だわ」

絶妙な味付けに俺の胃袋は完全に捕まれている。

「そりゃどーもです」

受け流すように答えてるけど、口元が嬉しくて緩んでるのが丸わかり。

「ホント、ありがとな」

身をちょっとだけ乗り出して、スタイリングされていないサラサラな髪をクシャっと撫でた。

『あっ、ビール飲む?俺も飲みたいし!刺身も出すね?』

真っ赤になる顔を見られない様にバッと立ち上がると、そそくさと冷蔵庫に向かった。


照れてる照れてる。


予想通りの展開で思わずニヤけてしまった。


世間のイメージとしてはストイックでドS。

どっちかといえばオラオラ系?

そして当たり前だけどゴリゴリの男。


けど俺の……俺だけの前では違う。


そりゃ外見は変わんないよ?

見た目だけで言えば、可愛い人や美人な人は芸能界にはたくさんいる。

だからこそ普通の人よりは目が肥えているとは思う。


でも可愛さってそこじゃないんだって気がついた。


『なーに、ニヤニヤしてんの?」

ビールとグラスそして貝の刺身を置き終えると、椅子に座ってジト目を俺に向けた。

「ちょっと、思い出してただけ」

『どーせ、エロい事でしょ?』

「エロい事ねぇ……じゃあ、例えば?」

わざとらしくニヤっと笑って問いかけると、ポッという効果音がつくくらいに一気に顔が赤くなる。


一体、何を思い出しているやら……


『そ、そんなの知らねーし!』

「まぁエロい事は今、わざわざ思い出さなくてもあとからたーぷり出来るしな」

『かっ、勝手に決めんじゃねー!』

慌てた様子でグラスに注いだビールをグビグビ飲む。


怒ったように見せてるけど完全に照れ隠し。

俺の前では仕事と違って大根役者。


「シないの?」

「シないとは……言ってない」

でもさ、最後は素直なんだよね。


どんな些細な事だって、俺の前だけで見せる潤の全てが堪らなく好きだ。

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