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まだ見ぬ世界へ

第12章 愛を叫べ

【相葉side】


「ねぇ、何見てるの?」

新聞を見ているニノと翔さんの後ろに回り、2人の間に顔を割って入れる。

ニ「もう…何なんですか、相葉さん」

鬱陶しい顔をしているが、身体をずらして俺が新聞を見やすい様にしてくれた。

俺の為にしてくれた行動に思わず、口角が緩みそうになる。

翔「これ、読んでたの」

記事の一部をトントンと指差した。

「ふーん」

その記事に目を通してみる。

ニ「本当に読んでる?だって、この漢字とか読めないでしょ?」

「読めるっつーの」

ニノが指さした漢字に目を凝らす。


……読めない。


ニ「ねぇねぇ、なんて読むの?」

目を輝かせ、俺を冷やかしてくる。


それは俺にしか見せない態度。

親友だから、ありのままのニノで接してくれる。


それが他のメンバーに勝てるところでもある。

でも、『親友』というのは厄介だ。


『友達』としては一番近い『親友』

『恋愛』としては一番遠い『親友』


まして俺の恋など全く持って興味がない。


だからこそニノが気づくわけがない。


俺に好きな人がいるだなんて……

それがニノだなんて……


ニ「もう、必死に考えて……素直になりなさい?読めないんでしょ?」


ニノは漢字の事を言ってるんだけど、ずっと考えていた事とリンクして驚いた。


色々と自分なりにニノにアピールしたけど、まるで響かなかった。


遠回りしたって駄目なんだろうな。


「煩い、読めないよ!」

ニ「ほーら、やっぱ……」

ニノを黙らすために顔面を掌でベロンと撫でる。

ニ「止めろやー」

そんな事を言いながらいつもの様に笑ってる。

「もう、考えすぎたら体力使って腹減った」

ニ「それ、関係ある?」


ガチャ…


楽屋のドアが開いて松潤が入ってきて中断してしまった。


タイミング……逃したぁ。


櫻「コメント撮り、お疲れ」

松「ありがとう」

勢いよくソファーに腰を下ろして天を仰ぐ松潤。


でも今言わなきゃ、いつ言うの……だよな。


「ねぇ、ニノ!ご飯行かない?」

ニ「奢りならね?」

ニヤリと俺を見て笑った。


決めた。

今日、親友という殻を破ってやる。

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