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まだ見ぬ世界へ

第12章 愛を叫べ

【松本side】


「お疲れ様でした」

VS嵐クイズの収録を終えて、楽屋へ戻る。


何だか……嫌な予感がする。


楽屋のドアを開けると、いつもの席に座っているニノと翔さんの間に相葉くんが後ろから割って入っている。

櫻「コメント撮り、お疲れ」

翔さんが新聞から顔を覗かせて俺に声をかけてくれる。

「ありがとう」


この雰囲気なら、まだ何も起きていないな。


俺もいつもの場所に腰かけ、天を仰ぐ。


相「ねぇ、ニノ!ご飯行かない?」


その言葉に反射的に動きそうな身体をソファーに縫い付け、必死に止めた。


俺の勘に間違いがなかった。


今日一日、ずっと相葉くんはソワソワというか……浮ついている感じがした。

それはリーダーも同じだった。


どちらかが動き出すんじゃないかと思った。


2人……いや、3人と俺は同じ想いを抱いている。


俺がニノへの想いに気がついてから他のメンバーを見ると、『俺と同じだな』って思うところがたくさんあった。


でもみんなニノへの気持ちには気がついていない様に思いえた。

だからこそ、ニノに対するの想いに気づいて欲しくなかった。


ニノが俺の想いを受け入れるかもわからない状況。

その上、ライバルが同じメンバーなんて……


相葉くんは俺たちの想いに気づいていないし、猪突猛進だからだぶん1番最初に行動するだろう。


翔さんはたぶん俺たちの想いに気が付いていてみんなの動向を見て、動き出すだろう。


リーダーは最近になって自分のニノへの想いに気づいたみたいだけど、何せ行動が読めない。


でも、ひとつだけわかること。

想いを伝えるのは、2人っきりになった時。

そしてその場面を相葉くんは今、作ろうとしている。


そんな事、させるかっつーの。


「それ、俺も行ってもいい?」

相「えっ?」

あからさまに動揺している相葉くん。

櫻「じゃあ、俺も行こっかな?」

新聞をゆっくりと閉じる翔くん。

大「俺も行こっかな?」

さっきまで寝ていたリーダーが目を擦りながら立ち上がる。


みんな、動き出す。


相「全員なら、奢らないからね!」

髪をワシャワシャと乱暴に掻きむしる相葉くん。


楽屋に流れるニノにはわからないヒリヒリした空気。


たぶん、今日が勝負の日。

俺にとっても、みんなにとっても……

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