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まだ見ぬ世界へ

第12章 愛を叫べ








「ただいまぁ」

俺の声と共に近づいてくる足音。


今日も……来るな。


俺は素早く靴を脱いで待ち構える。

相「お帰りなさーい!」

玄関に走って向かってきた勢いのまま俺に飛び込んでくる。

「うわっ!もう……いつか絶対に俺、倒れると思うんだけど」

相「大丈夫、俺がギューと抱きしめるから」

俺を抱きしめる雅紀の腕に一層の力が入る。

「痛い痛い、力加減バカ男になってるってば」

相「うーん、やっぱり抱き心地……最高」

首に顔を埋めて、じゃれてくる。

「くすぐったいって……犬かよ」

相「ワンっ」

満面の笑みを浮かべる顔の近くに軽く握った拳を持ってきて、犬のモノマネをする。

「ぷっ、可愛くねーから」

クスクス笑っていると、雅紀の拳が頬に伸びてくるとそのまま顔が近づいて来てペロッと鼻先を舐めた。

「な…っ」

次にペロッと唇を舐めた。

相「ふふっ、どうした?顔真っ赤にして」

「べっ、別に……」

恥ずかしく思わず顔を背けたけど、雅紀の手が俺の頬を包み視線を戻される。


さっきまでふざけてたのに……

急に漂わせてくる色気にいつもドキドキしちゃう。


相「キス……して欲しいんでしょ」

コテっと首を傾げる可愛い仕草をしつつ、雅紀の指が唇をゆっくりとなぞる。

「うるさーい!」

相「ん…っ!」

ガシっと今度は俺が頬を包んで顔をロックすると、ぶつかる様に唇を重ねた。


翻弄されっぱなしも、何だか悔しいんだよね。


「お腹空いたら、ご飯食べる」

足早にリビングへと逃げる様に向かった。


でも後で毎回めちゃくちゃ恥ずかしくなる。


相「はいはい、わかりましたよ。用意するから、お風呂入っておいで」

それを知ってか知らずか、笑いを含んだ声が後ろから聞こえる。

「うわ…っ!」

バタバタと足音がまた聞こえたと思ったら、後ろからギュッと抱きしめられる。

相「キスしてくれて、ありがとう」

チュッと頬にキスをすると、俺を置いて先にリビングへと向かった。


やっぱ……勝てないや。

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