まだ見ぬ世界へ
第12章 愛を叫べ
「いただきまーす」
綺麗に盛り付けられたパスタをクルっとフォークに巻くと、口に運んだ。
松「どう?」
「もちろん、美味しいよ」
松「そ、よかった」
俺の反応を確認してから、潤もパスタを口に運んだ。
松「んー、まぁまぁだな」
味を確かめつつ、食べ進めていく。
「そう?俺はめっちゃ、美味しいんだけど」
食に興味がなく、嫌いな物じゃなければ何でも……な俺だけど、潤が作れるときは『食べたい』ってお願いする。
だって……本当に美味しいんだもん。
松「和也がそう言ってくれるなら、作った甲斐があるよ」
「また作ってね。これ、好き」
松「和也って、シンプルな料理が好きだよね」
確かにハンバーグだったり、オムライスとかが好き。
逆に凝った料理だったりオシャレで覚えづらい名前はあんまり好きじゃない。
そもそも脂っこい料理や、高い料理ってのが苦手だからね。
松「シンプルって言うか……お子ちゃま舌なのかもね」
クスクス笑いながら、またパスタを頬張る潤。
「ち、違うし!」
俺も多めにパスタを頬張った。
松「ほーら、やっぱり子どもじゃん。口の周り、トマトソースつけてさ」
「うっ、うるさい!」
慌てて拭こうと、ティッシュに伸ばした手を寸前の所で潤が掴んだ。
松「俺が拭いてやるよ」
そのままグッと引っ張られると、それを迎え入れる様に身を乗り出してきた潤くんの唇が俺のそれに触れた。
そしてニヤっと笑うと、ペロっと舌で汚れている部分を舐めとっていく。
その舌は唇と唇の隙間から口内にスルりと入り、舌を絡めとっていく。
松「ふふっ、ごちそーさま」
散々、暴れ回ったあと何事もなかった様にパスタを食べ進めていく潤。
煽るだけ、煽っておいて……
熱を帯びてしまった身体は簡単には治まらない。
松「あれ?食べないの?」
「食べ…る」
睨む俺を見て、してやったりとばかりに潤くんが笑った。
今日もまた潤に俺は翻弄されている。