まだ見ぬ世界へ
第13章 正義のミカタ
「ぅ…ん」
重い瞼を開けると、見慣れない天井。
『あ、二宮くん!』
店長の声が聞こえた方に顔を向けると、副店長と相葉くんもいた。
『よかったぁぁぁぁぁぁぁ』
「うわ…っ」
『ちょ……智くん!』
寝ている俺に涙目の副店長がガバッと覆いかぶさり、抱きついた。
「どうしたんですか?みんな、集まって」
『どうしたもこうしたもないよ。病院に運ばれたって潤から聞いて、慌てて来たんだよ』
潤くん…が?
『にぃーのぉーみぃーやくぅぅぅん』
『煩いってば、あなた』
俺にしがみつく副店長を引き剥がしてくれた。
『俺も電話で大丈夫だって言ってたけど、心配で駆け付けたらさ……パトカーとか止まっててビックリしたよ。で、ちょうど二宮くんが救急車で運ばれるところだったから付き添ったの』
俺の状況を説明してくれた相葉くん。
救急…車?
「え、俺……倒れたの?」
『気を失ったみたい。でも良かったぁ。潤から救急車で運ばれるって聞いたから、あのストーカーに刺されたのかと思った』
ホッとした様子の店長はさらに撫で肩が増した様な気がした。
『それは櫻井先輩が俺の話を聞かないからでしょ?』
ガラっとドアが開くと会った時の私服ではなく、警察官の格好をしていた。
『潤からストーカーが来てるって連絡があった後に、救急車で運ばれたって聞いたら、誰だってそう思うだろ!』
『痛ってぇー!』
ペシっと潤さんの頭を叩く店長。
警察官に手を挙げるって……
『ちゃんと話を聞かなかったのは先輩じゃないですか!』
『うっせー!』
『暴行罪で現行犯逮捕しますよ?』
また叩こうとした店長にニヤっと笑って見せる潤さん。
『くぅー、生意気なヤツめぇ』
『潤くん……今回は本当にありがとう』
急に話に割って入った智さんは潤さんの方を見ると、深々と頭を下げた。
『そうだな……潤、ありがとう。二宮くんを守ってくれて』
『ありがとうございます!潤さん!』
店長と相葉くんまでもが深々と頭を下げた。