テキストサイズ

まだ見ぬ世界へ

第13章 正義のミカタ

『いやいや…頭上げて下さい。警察官として当然のことをしたまでですから』

照れたのか顔を少し赤くして慌てだす潤さん。

『だよなぁー!』

『もう、翔くん!』

調子に乗った店長を怒る副店長。


そもそも副店長が1人で帰ってこれたら、こんな事にならなかったんですけど……


と、言いたい気持ちをグッと堪えた。


俺も油断?していた部分もあるし……


『いやいや俺、結構コイツの被害者なのよ?間違ってはいないんだけどさ……どこでも誰にでも正義感振り回しちゃうから、取っ組み合いの喧嘩に何度仲裁に入ったことか』

『うわぁー、それは面倒くさいね』

あからさまに嫌な顔をする相葉くん。

『だろ?』

『もー、それは謝ったじゃないですか!』

『謝るだけなら誰でもできるっつーの。毎回、巻き込まれる身にもなれよ』

当時の事を思い出したのか、大きなため息が店長から漏れる。

『だったら警察官は天職だね。まさに、正義のミカタじゃん』

『はい!』

副店長の言葉に潤さんはなぜか嬉しそうに返事をした。

『まぁね。だってコイツ、進路調査票に『ヒーローになる』って書いたんだもん』

『ちょっ…それ、誰にも言わないって約束したじゃないですか』


ヒーローかぁ……


さっきよりも顔を真っ赤にして恥ずかしがる潤さんを見ながら俺は昔のことをふと思い出した。


『ヒーローって、小学生かよって当時は笑ってたんだけど……』

照れる潤さんの肩をガシっと店長が掴んで引き寄せた。

『こうやって夢を実現させたんだからすげーよ。まさに二宮くんにとってヒーローになったんだからさ』

店長の言葉を聞いた潤さんが俺をジーッと見つめる。


なんか……恥ずかしい。


俺は布団を目元辺りまで上げた。

『いやぁ、似てるんですよね……二宮くん』

俺を見つめたまま近づいてくる潤さんに、なぜだか俺はドキドキしてしまう。

『俺がヒーローになるきっかけをくれた子に』

ストーリーメニュー

TOPTOPへ