まだ見ぬ世界へ
第15章 エンドウの花
今でも忘れない。
忘れたくても忘れられない。
俺は母さんが再婚した相手に無理やりヤられた。
産まれてすぐに父親が死んで、女手ひとつで俺を育ててくれた。
俺の知らないところでたくさん苦労したと思う。
だからこそ高校卒業を間近に控えた日、母さんが『再婚したい』と照れながら俺に言った時、ホッとしたんだ。
そして嬉しかった。
ようやく母さんが幸せになれるって……
けど俺は母さんを幸せにしてくれるはずのアイツに、幾度となく身体を求められた。
『こんな姿を母親が知ったらどう思う?』
ニヤリと笑ってアイツは俺にその言葉を幾度となく浴びせる。
そして抱かれる度にスマホに増えていく俺のあられもない姿。
逃げたい。
でも……逃げられない。
母さんに言いたい。
でも……母さんに言えない。
俺が黙っていれば……
俺が耐えたら……
母さんの幸せ、俺に見せてくれたあの笑顔は守れる。
だから俺が家を出る日まで辛抱すればいい。
そう思っていたのに……
あの日、全てが音を立てて崩れた。
俺がアイツに抱かれている姿を、いつもより早く帰ってきた母さんに見られてしまった。
『こっ、こいつが抱けっていうから!』
さっきまで気持ちいいと言って抱いていた俺の身体を突き飛ばす。
「違うっ!」
俺は泣きながら必死にそれを否定した。
そして我慢していた全てを言葉にして吐き出そうとした。
でも……
『黙れ!』
聞いた事のない母さんの怒鳴り声と俺を蔑み、軽蔑するような目。
『汚らわしい、あんたが誘惑したんだろ!』
母さんが味方したのはずっと一緒に過ごしていた息子の俺じゃなくて、アイツだった。
俺はその瞬間、悟った。
何を言っても俺の言葉は、あなたには届かない。
もう息子でもなんでもないんだって。
『荷物をまとめて出ていけ』
それが俺にかけてくれた最後の言葉。
『君……なにしてるの?』
家出してから幾度となくかけられるその言葉。
その言葉に頭の過去の映像から、現実に戻された。
ゆっくりと顔を上げると、そこにはアイツみたいにニヤニヤ笑ってる男がいた。
忘れたくても忘れられない。
俺は母さんが再婚した相手に無理やりヤられた。
産まれてすぐに父親が死んで、女手ひとつで俺を育ててくれた。
俺の知らないところでたくさん苦労したと思う。
だからこそ高校卒業を間近に控えた日、母さんが『再婚したい』と照れながら俺に言った時、ホッとしたんだ。
そして嬉しかった。
ようやく母さんが幸せになれるって……
けど俺は母さんを幸せにしてくれるはずのアイツに、幾度となく身体を求められた。
『こんな姿を母親が知ったらどう思う?』
ニヤリと笑ってアイツは俺にその言葉を幾度となく浴びせる。
そして抱かれる度にスマホに増えていく俺のあられもない姿。
逃げたい。
でも……逃げられない。
母さんに言いたい。
でも……母さんに言えない。
俺が黙っていれば……
俺が耐えたら……
母さんの幸せ、俺に見せてくれたあの笑顔は守れる。
だから俺が家を出る日まで辛抱すればいい。
そう思っていたのに……
あの日、全てが音を立てて崩れた。
俺がアイツに抱かれている姿を、いつもより早く帰ってきた母さんに見られてしまった。
『こっ、こいつが抱けっていうから!』
さっきまで気持ちいいと言って抱いていた俺の身体を突き飛ばす。
「違うっ!」
俺は泣きながら必死にそれを否定した。
そして我慢していた全てを言葉にして吐き出そうとした。
でも……
『黙れ!』
聞いた事のない母さんの怒鳴り声と俺を蔑み、軽蔑するような目。
『汚らわしい、あんたが誘惑したんだろ!』
母さんが味方したのはずっと一緒に過ごしていた息子の俺じゃなくて、アイツだった。
俺はその瞬間、悟った。
何を言っても俺の言葉は、あなたには届かない。
もう息子でもなんでもないんだって。
『荷物をまとめて出ていけ』
それが俺にかけてくれた最後の言葉。
『君……なにしてるの?』
家出してから幾度となくかけられるその言葉。
その言葉に頭の過去の映像から、現実に戻された。
ゆっくりと顔を上げると、そこにはアイツみたいにニヤニヤ笑ってる男がいた。