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まだ見ぬ世界へ

第15章 エンドウの花

パッと暗かった場所に急に明かりが灯る。


感知式の……照明?


『なっ、何だ……君たちは』


そこにいたのは4人の男。


突然現れた人々に動揺はしているが、俺を掴んだ手首は離さない。

『何だって言われてもなぁ~?』

重みのないの口調と、垂れた眉毛にふにゃっとした表情。


この状況に緊張感ってのがないのか?


『それより、あんたこそ何してんだよ』

もう一方の人は眉毛が濃い?顔が濃い?

とにかく暗闇でもインパクトがある。


そして……怖い。


『君たちは関係ないだろ!ほら、行くぞ!』

俺を再び引っ張り、止めていたであろう車の方へ移動しようとする。


どんな人たちか知らないけど……今しかない!


「嫌だっ!離せっ!」

必死に手を振り解こうと暴れた。

『お前…っ、いいから来い!』

でも踏ん張る力がなくてズルズルと引きずられていく。

『嫌がってんじゃん。離せって』

軽くて明るい口調に突っぱねることなく、俺を引っ張ろうとしていた男は動きを止めた。

『いっ…痛いっ!はっ、離せ…』

苦痛の声と共に俺を掴んでいた手は離れた。


男を手をねじり上げるのは、そんな事をしそうにない爽やか好青年。

ニッコリ笑ってるし……


『暴力だぞ、けっ、警察に……』

『いいですよ?その方が俺たちの手間が省けますし……』


真面目で頭が良さそうな雰囲気で、優しそうなオーラを纏っていたのに……

口角を上げ、したり顔に変わった。


『まぁいいか。君なら3万は出せるよ』
『君みたいな威勢のいい子は抱き甲斐がある』


男の顔の前に出したスマホから聞こえた自身の言葉に表情が焦り顔に変わった。

『じょっ、冗談だよ……な?』

必死に俺に同意を求めてくる。


でも俺は……首を縦には振らない。


『あっ、そうそう!よっ、用事があったんだ。帰んなきゃ……うわっ!』

誰かがわざと出した足に豪快にこけたけど、文句も言わず慌てて去って行った。

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