テキストサイズ

まだ見ぬ世界へ

第15章 エンドウの花

『さてと……これからどうする?』

翔ってヤツが立ち上がると、他の3人も立ち上がり俺の頭の上で顔を合わせている。

『俺らもそろそろ行かないと……』

潤ってヤツがスマホを取り出して画面を3人に見せた。

『でもここにいたら、また変態野郎に連れていかれちゃうよ?』

会って間もないのに、雅紀ってヤツは本気で俺を心配してくれる。

『俺らと一緒に……来るか?』

智ってヤツがくしゃっと髪を撫でてきた。


……え?

今、なんて?


『智、それはヤバくない?』

『でもそれ以外に方法あるか?』

強い口調の智ってヤツに問いかけた翔ってヤツも、他の2人も押し黙った。

『どうせ報告したら、あそこには用はないだろ?』

『そりゃそうだけど……みんな黙っちゃいないと思うよ?』

苦笑いを浮かべながら、頭をポリポリと潤ってヤツが掻いてる。

『そんなのほっときゃいいよ。どうせ俺らの心配なんかしてない。村の事しか考えない年寄りばっかだろ』

話していることが全く理解できず、表情を伺う様に4人の顔を見渡していると雅紀ってヤツと目が合った。

『ちょっと、戸惑ってるよ!ちゃんと説明した方がいいんじゃない?』

『時間も時間だし、移動しながら話そう』

コンビニに唯一止まっていた車を翔ってヤツが指差した。

『あ、ちょっと待って』

『一緒にくる』って聞いてくれた智ってヤツが車へ移動しようとした3人の動きを止める。

『名前……教えて?』

そう言われて、自分の名前を言ってない事に気が付いた。

「かず…なり」

『んー、なんか噛みそうな名前だな』


なんか……自分の名前にケチをつけられた。

でも少しだけ納得した自分もいた。


『噛みそうなのは智だけでしょ?』

翔ってヤツがクスッと笑った。

『じゃあ……かず』

『うわっ、略した』

ギロッと雅紀ってヤツを睨んだけど、怯む様子はない。

『で、どうすんの?』

潤ってヤツがスマホを智に向ける。

『ついて……くるか?』

智ってヤツが俺の前に手を差し出す。


俺は迷うことなくその手を……握った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ