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まだ見ぬ世界へ

第15章 エンドウの花

停車した先には漫画でしか見た事のない巨大な格子門扉。

『開け~ゴマ』

雅紀が魔法をかけるように車内から門に向けて手を伸ばす。

「う…うそ…だ」

するとギギッと音をたてながら、ゆっくりと門が開く。

『凄いでしょ?俺』

『たまたまタイミングよく開いただけだろ』

得意げに振り向いた雅紀に鉄槌を下す翔。


少しだけ……信じちゃったじゃん。


『あいつらが開けてくれたんだろ?』

潤が指差す先にはうっすらと人影が見えた。

そしてその人影は車が進むにつれ、はっきりと姿を確認することが出来た。


執事のような格好をしていて、人数は4人。


車が停車し、パワーウィンドウを智が下げると、一気にその4人が押し寄せた。

『智おぼっちゃま!』


おぼっ…ちゃま?


えっ?

ちょっと待って!


一体、この人達は何者なの?


もう、さっぱり訳がわからない。


『侑李……おぼっちゃまは止めろ言ってるだろ』

智は苦笑いを浮かべた。


『そんな事より、電話でのお話は本当ですか!』

『風磨……俺が嘘ついたことあるか?』

翔の言葉にその人は目を潤ませ悲しい顔をした。


『今からでも遅くありません。早くお相手を……』

『おい、勝利……それ以上、言うな』

潤の低い声が車内に響く。


『取りあえず中へ。ここで話してもしかたがありませんし……』

『慧の言う通りだね!じゃあ、お茶の準備してくれる?』

緊張が走った車内が雅紀の言葉で明るくなる。


『『『『かしこまりました』』』』

胸に手を当てながら頭を下げると、4人はどこかへ向かって走っていった。


そして智が窓を閉めるとゆっくりと車は動き出した。


ガチャン…


音の鳴った方を振り返ると、そこには閉ざされた格子門扉。


それを見た瞬間、俺はもうここから出れない。

そう、思った。


でも不思議と、不安や恐怖は感じなかった。


どうなるのかわからない。


でもまるで何かを決意したかのような真剣な瞳で前を見据える4人に、ついていけばいい。

なぜか、そう思えたんだ。

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