まだ見ぬ世界へ
第15章 エンドウの花
「そんなのわかんないじゃないですか!破った人がいないんだから死ぬかなんて……」
叫びにも似た俺の声が教会に響いた。
言葉だけでも……この事実を否定したかった。
でも後の言葉が続かない。
『ありがとう、カズ』
潤が優しく目頭を拭ってくれた。
『カズが俺らの代わりに泣いてくれたのかもな』
いつの間にか後ろにいた智が俺の髪を優しく撫でる。
『いや、雅紀はもう泣いてるし』
『うっ、煩いっ!』
クスクス笑う翔に鼻声で反論する雅紀。
『鼻水、垂れてんぞ』
『えっ?嘘、マジで!』
『嘘だよーん』
『ちょっと、智!』
教会内を駆け回る智と雅紀。
『ホント、あいつら子どもだな……』
そんな様子を翔と一緒に見つめていた。
さっきまでの深刻だった雰囲気が一変した。
まるで俺の悲しむ隙を与えないかのよう。
俺はこの4人に出会ってからずっと救われている。
変質者から俺を救ってくれてた。
行き場のない俺をここに連れて来てくれた。
お腹が空いている俺にご飯を作ってくれた。
こんな俺に……手を差し伸べてくれた。
こんな俺の……そばにいてくれた。
俺は何も出来ないままなの?
俺に出来る事は何もないの?
4人の運命を変える事は……出来ないの?
今までこの『掟』を背負って死んだ人はきっといない。
『掟』をきっちり守れた人もいるかもしれない。
でもみんな一部を除いた『掟』を確実に守った。
『運命の人』という言葉を除いた『掟』を。
だからこそ子孫は繁栄し、智と翔と雅紀と潤は産まれたんだ。
だったら……
一部だけでも『掟』を守れば、みんなの命は助かるかもしれない。
『カズ、どうした?』
考え込んでいつの間にか下を向いていた俺の顔を心配そうに潤が覗き込む。
ひとつ。
『掟』の中にある何かを守ればきっと……
なら、俺が出来る事はひとつしかない。
「ねぇ……俺を抱いてくれますか?」
叫びにも似た俺の声が教会に響いた。
言葉だけでも……この事実を否定したかった。
でも後の言葉が続かない。
『ありがとう、カズ』
潤が優しく目頭を拭ってくれた。
『カズが俺らの代わりに泣いてくれたのかもな』
いつの間にか後ろにいた智が俺の髪を優しく撫でる。
『いや、雅紀はもう泣いてるし』
『うっ、煩いっ!』
クスクス笑う翔に鼻声で反論する雅紀。
『鼻水、垂れてんぞ』
『えっ?嘘、マジで!』
『嘘だよーん』
『ちょっと、智!』
教会内を駆け回る智と雅紀。
『ホント、あいつら子どもだな……』
そんな様子を翔と一緒に見つめていた。
さっきまでの深刻だった雰囲気が一変した。
まるで俺の悲しむ隙を与えないかのよう。
俺はこの4人に出会ってからずっと救われている。
変質者から俺を救ってくれてた。
行き場のない俺をここに連れて来てくれた。
お腹が空いている俺にご飯を作ってくれた。
こんな俺に……手を差し伸べてくれた。
こんな俺の……そばにいてくれた。
俺は何も出来ないままなの?
俺に出来る事は何もないの?
4人の運命を変える事は……出来ないの?
今までこの『掟』を背負って死んだ人はきっといない。
『掟』をきっちり守れた人もいるかもしれない。
でもみんな一部を除いた『掟』を確実に守った。
『運命の人』という言葉を除いた『掟』を。
だからこそ子孫は繁栄し、智と翔と雅紀と潤は産まれたんだ。
だったら……
一部だけでも『掟』を守れば、みんなの命は助かるかもしれない。
『カズ、どうした?』
考え込んでいつの間にか下を向いていた俺の顔を心配そうに潤が覗き込む。
ひとつ。
『掟』の中にある何かを守ればきっと……
なら、俺が出来る事はひとつしかない。
「ねぇ……俺を抱いてくれますか?」