まだ見ぬ世界へ
第15章 エンドウの花
【雅紀side】
俺の伸ばす腕を枕に眠っているカズ。
温もりをもっと感じたくて、ぎゅっと俺の身体に引き寄せた。
「カズ」
名前を呼びながら髪に顔を近づけると、カズの香りを吸い込んだ。
『ぅ…ん』
身動ぎしながらカズがゆっくりと瞼を開ける。
「まさ…き」
俺の背中に細い腕を回してきた。
初めて出会った時からなぜか、カズの事をほっとけないって思った。
カズは人を近づかせないオーラを放ってた。
でも……
目だけは必死に『助けて』って訴えてた。
それがまるで自分の様に思えた。
俺もそうだった。
人見知りだったのもあったけど『仲良くなったって』って気持ちもあったから、なるべく人との交流を避けた。
でも本当は……
みんなと喋りたかった。
みんなと仲良くしたかった。
無理だとわかっていても、この運命から救い出して欲しかった。
シグナルを出したって、気がついてくれる人がいなきゃ意味がない。
気がついてくれたって、手を伸ばしてくれなきゃ意味がない。
だから俺はカズに手を差し伸べた。
自分が、そうして欲しかった様に。
『雅紀……ありがとう」
「えっ?」
『俺にから揚げをくれて』
涙を流しながら俺に感謝の言葉を伝えてくる。
感謝をしないといけないのは俺の方。
「ありがとう、カズ」
『えっ?』
「ありがとう、ありがとう…っ」
『雅紀、泣かないで?』
俺の頬を包むと涙を拭ってくれた。
「じゃあ、カズも泣かないで?」
俺も頬を流れ落ちるカズの涙を指で拭った。
『うん、だから……雅紀も笑って?』
涙でくしゃくしゃになりながらも微笑むカズ。
その顔が、とても綺麗だって思った。
「わかった」
ゴシゴシと目を擦って涙を拭う。
「カズ」
『雅紀』
名前を呼び合うと、どちらともなく唇を重ねた。
俺、今……
初めて人と触れ合って幸福を感じてる。
もし俺がこの運命、掟を乗り越える事ができたら……
その先にはきっと『必ずくる幸福』があるよね?
俺の伸ばす腕を枕に眠っているカズ。
温もりをもっと感じたくて、ぎゅっと俺の身体に引き寄せた。
「カズ」
名前を呼びながら髪に顔を近づけると、カズの香りを吸い込んだ。
『ぅ…ん』
身動ぎしながらカズがゆっくりと瞼を開ける。
「まさ…き」
俺の背中に細い腕を回してきた。
初めて出会った時からなぜか、カズの事をほっとけないって思った。
カズは人を近づかせないオーラを放ってた。
でも……
目だけは必死に『助けて』って訴えてた。
それがまるで自分の様に思えた。
俺もそうだった。
人見知りだったのもあったけど『仲良くなったって』って気持ちもあったから、なるべく人との交流を避けた。
でも本当は……
みんなと喋りたかった。
みんなと仲良くしたかった。
無理だとわかっていても、この運命から救い出して欲しかった。
シグナルを出したって、気がついてくれる人がいなきゃ意味がない。
気がついてくれたって、手を伸ばしてくれなきゃ意味がない。
だから俺はカズに手を差し伸べた。
自分が、そうして欲しかった様に。
『雅紀……ありがとう」
「えっ?」
『俺にから揚げをくれて』
涙を流しながら俺に感謝の言葉を伝えてくる。
感謝をしないといけないのは俺の方。
「ありがとう、カズ」
『えっ?』
「ありがとう、ありがとう…っ」
『雅紀、泣かないで?』
俺の頬を包むと涙を拭ってくれた。
「じゃあ、カズも泣かないで?」
俺も頬を流れ落ちるカズの涙を指で拭った。
『うん、だから……雅紀も笑って?』
涙でくしゃくしゃになりながらも微笑むカズ。
その顔が、とても綺麗だって思った。
「わかった」
ゴシゴシと目を擦って涙を拭う。
「カズ」
『雅紀』
名前を呼び合うと、どちらともなく唇を重ねた。
俺、今……
初めて人と触れ合って幸福を感じてる。
もし俺がこの運命、掟を乗り越える事ができたら……
その先にはきっと『必ずくる幸福』があるよね?