まだ見ぬ世界へ
第15章 エンドウの花
【翔side】
ベッドの端に座り、静かな部屋に響く寝息を聞きながらカズの髪を撫でる。
『ぅ…ん』
ゆっくりと瞼を開いて俺をぼんやり見つめる。
「ごめん、起こしたな」
『う…うん、大丈夫』
まだはっきりしない意識の中でも俺に微笑む。
「身体、痛いだろ?」
カズや俺たちが望んだ事とはいえ、負担は抱かれる側に大きくのしかかる。
『だい…じょう…っ」
起き上がろうとした上半身はベッドに沈んだ。
「ほら、みろ。無理すんな」
『無理は……してない』
さっきまでふわふわしていた目線も口調も消えた。
『正直、身体は何とも言えないけど、こんなに心が満たされたのは初めて』
カズの手が伸びてきて、俺の頬を包んだ。
智から俺たちに出会うまでの話を聞いていたので、カズの心情には納得がいく。
カズは俺たちを求めてくれた。
俺たちもカズを求めた。
ちゃんと互いの心が通じ合って、交わったのはきっと初めてに違いない。
カズだけじゃない、きっと俺たちも……
カズと出会った時、瞬時に面倒くさいヤツだと思った。
だから関わりたくなかった。
だって、自分の事で精一杯だった。
限りある時間の中で、出来る事しかしないってのが俺のモットー。
カズをこの村に連れて行くのも反対だった。
だって俺たちはカズを救えない。
でも智が珍しく自分の意思を示し、それを曲げようとしなかった。
だから何かの考えがあっての事だってのはわかっていたけど、智はきっとそれだけじゃなかった。
無意識に『助けたい』って思ったんだ。
優しさは時に人を傷つける。
出来ない『約束』は人を絶望させるだけ。
でもカズはその優しさで俺たちを救った。
出来ない『約束』を希望に変えたんだ。
「カズ」
俺は寝ているカズに顔を近づけて唇を重ねた。
もし俺がこの運命、掟を乗り越える事ができたら……
ずっと俺たちが、そばにいると『約束』するから。
ベッドの端に座り、静かな部屋に響く寝息を聞きながらカズの髪を撫でる。
『ぅ…ん』
ゆっくりと瞼を開いて俺をぼんやり見つめる。
「ごめん、起こしたな」
『う…うん、大丈夫』
まだはっきりしない意識の中でも俺に微笑む。
「身体、痛いだろ?」
カズや俺たちが望んだ事とはいえ、負担は抱かれる側に大きくのしかかる。
『だい…じょう…っ」
起き上がろうとした上半身はベッドに沈んだ。
「ほら、みろ。無理すんな」
『無理は……してない』
さっきまでふわふわしていた目線も口調も消えた。
『正直、身体は何とも言えないけど、こんなに心が満たされたのは初めて』
カズの手が伸びてきて、俺の頬を包んだ。
智から俺たちに出会うまでの話を聞いていたので、カズの心情には納得がいく。
カズは俺たちを求めてくれた。
俺たちもカズを求めた。
ちゃんと互いの心が通じ合って、交わったのはきっと初めてに違いない。
カズだけじゃない、きっと俺たちも……
カズと出会った時、瞬時に面倒くさいヤツだと思った。
だから関わりたくなかった。
だって、自分の事で精一杯だった。
限りある時間の中で、出来る事しかしないってのが俺のモットー。
カズをこの村に連れて行くのも反対だった。
だって俺たちはカズを救えない。
でも智が珍しく自分の意思を示し、それを曲げようとしなかった。
だから何かの考えがあっての事だってのはわかっていたけど、智はきっとそれだけじゃなかった。
無意識に『助けたい』って思ったんだ。
優しさは時に人を傷つける。
出来ない『約束』は人を絶望させるだけ。
でもカズはその優しさで俺たちを救った。
出来ない『約束』を希望に変えたんだ。
「カズ」
俺は寝ているカズに顔を近づけて唇を重ねた。
もし俺がこの運命、掟を乗り越える事ができたら……
ずっと俺たちが、そばにいると『約束』するから。