まだ見ぬ世界へ
第4章 幸福論【登場人物】
コンコン…
「和也………入るぞ」
返事を少し待ったけど、応答が無い。
倒れているかもしれないと思ったので俺は部屋へと入った。
その瞬間、部屋から解き放たれた香り。
「和也っ、お前……」
やばいっ、これ……『Ω性』のフェロモンだ。
普通なら抑制剤である程度、フェロモンを抑えられる。
でも和也はまた発情期を迎えた事がなかった。
発情期を一度も起こしていない人が制御剤を飲むと、ヒドイ副作用があるので病院では処方してくれない。
「にぃ…さん…」
吐息交じりに俺の名を呼ぶ。
そしてモゾモゾと布団が動いた。
頼む、こっちに来るなっ!
逃げなきゃって思うのに、身体がピクリとも動かない。
そして燃え滾るように身体が熱くなっていく。
「苦しい…苦しい…っ、たすけ……て」
頬を紅潮させ、胸を押さえながら潤んだ瞳を俺に向けた。
その瞬間……何かが弾けた。
起き上がってきた和也を再び、布団に沈めて唇を塞いだ。
スルりと口内に舌を滑らせると、解けるかと思えるくらい中は熱く……そして甘かった。
「んっ…あんっ、やぁぁっ」
キスの合間に漏れる喘ぎは、布越しに擦れあうモノの刺激のせい。
身に纏っていた衣類を全てを引きちぎる勢いで脱がせると、ピンと主張する胸の先にかぶり付いた。
「やぁぁぁぁ…っ」
背中を反らせながら身体を震わせると、俺のお腹が放たれた白濁で濡れた。
全ての反応が俺の欲を焚きつける。
早く、入れたい。
脚を大きく開かせると、そこは入ってと言わんばかりに濡れていた。
バンッ…
何か音が遠くで聞こえた気がした。
誰かが、叫んでいた気がした。
そして入れる寸前に、俺の身体は急に飛び込んできたヤツに吹き飛ばされた。
けど、俺はそれをものともせず立ち上がる。
こいつを……孕ませたい。
そのの目的を果たすため。
「うっ…」
でもさっきのヤツが立ちはだかり、腹に痛みが走った瞬間、そこで意識が途切れた。