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まだ見ぬ世界へ

第4章 幸福論【登場人物】

『α性』は恵まれている。

これがきっと『β性』や『Ω性』のイメージ。

特にΩ性は優遇の差などもあり、α性は憎むべき存在の人もいるだろう。

俺自身も他の性と比べれば生まれ持ったモノの違いで、秀でている部分がある事は認める。


でも全てを『生まれ持ったもの』『α性だから』

そんな簡単な一言で片づけて欲しくない。


もちろん『α性』だというだけで自分は優れているんだと思い上がっている人も少なくない。



国を支える多くがα性。



その現状がα性を自信過剰にさせる。


本当は周りの人に恵まれ、支えられているのに自分のお陰だと勘違いする。


人に感謝することなく、逆に自分に感謝しろという横暴な振舞の人だっている。



そんなα性たちが俺は大っ嫌いだ。



俺は違う。


生まれ持ったモノの能力には限界がある。

そこを高めるには努力するしかない。



『α性』だからという理屈は存在しない。



でも世の中は『α性』だからと結論付ける。



勉強できるのは当たり前。

運動神経がいいのは当たり前。


当たり前……

当たり前……


そこに至るまでの過程なんて見やしない。



でも……

誰かが、見てくれている。

誰かが、気づいてくれる。



『α性の人』ではなく……

『櫻井翔』として俺を認めてくれる、求めてくれる。


そう、信じて……努力してきた。


俺は大学卒業後、大手証券会社に就職した。


内定を貰った時も『α性だから』

バカの一つ覚えかってほど、色々な人に言われた。


どれだけ必死に就職活動に取り組んできたのか知りもせずに……


でも、大学を卒業すれば終わる。


所詮、二十歳を超えどもまだまだ半人前。


でも社会に出ればみんな同じ大人。

『α性』なんて関係ない。

結果が全て。

その結果、そしてそこに至るまでの過程で自身が評価される。


そう信じて疑わなかった。

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