まだ見ぬ世界へ
第4章 幸福論【登場人物】
それから俺は会社を辞めた。
菊池と一緒に……
ある程度は仕事をこなしており、取引先との信頼も厚かった俺が辞めるのは痛手のようで必死に引き留めようとしていた。
なにを今更って話。
いなくなって初めて気がついたっておせーんだよ。
けどそれは『優秀なα性』を失うなんてっとこと、あとは取引先を奪われる心配ってとこだろう。
そこに『俺』という存在価値はない。
唯一、会社に感謝するるとすればはトレーダーとして成長させてくれた事と顧客との繋がりを与えてくれた事。
会社を辞めてからすぐに情報を聞きつけた上得意先のお客様から連絡があった。
その多くは俺の取引で利益を得た人。
きっと『優秀なα性』のトレーダーを手放したくなかったんだろう。
結局、会社も顧客も同じ。
悔しいけど……これが現実。
『α性』でなければ仕事の依頼はない。
『α性』でなければ人に信頼されない。
『α性』という肩書きがなければ『櫻井翔』には、なにも残らない。
「翔さん、どうしたんすか?」
ボーっとしていた俺の顔をいつの間にか覗き込んでいた風磨。
「ん?なんでもねーよ」
「いってぇ」
ペンとデコピンをお見舞してやった。
こうやって一仕事終えると、いつも同じ答えに辿り着く。
別の答えなんてないのに……
風磨が照らしてくれた一筋の光をまた求めてしまう。
「一仕事、終えましたし……乾杯しますか!」
「おう、そうだな」
「いいっすよ、たまには俺が奢りますから!」
財布からお金を取り出そうとすると、その手を風磨が止めた。
「なんか、企んでねーか?」
「ヒドイっすよ!日頃の感謝です!」
冗談で疑いの目を向けたのに、ぷーっと頬を膨らませて拗ねる。
ホント……可愛い後輩だよ。
「じゃあ、ありがたく受け取るよ」
クシャっと頭を撫でると照れくさそうに笑った。
「じゃあ、いってきまーす!」
玄関に走っていく風磨の後ろ姿を見送った。
菊池と一緒に……
ある程度は仕事をこなしており、取引先との信頼も厚かった俺が辞めるのは痛手のようで必死に引き留めようとしていた。
なにを今更って話。
いなくなって初めて気がついたっておせーんだよ。
けどそれは『優秀なα性』を失うなんてっとこと、あとは取引先を奪われる心配ってとこだろう。
そこに『俺』という存在価値はない。
唯一、会社に感謝するるとすればはトレーダーとして成長させてくれた事と顧客との繋がりを与えてくれた事。
会社を辞めてからすぐに情報を聞きつけた上得意先のお客様から連絡があった。
その多くは俺の取引で利益を得た人。
きっと『優秀なα性』のトレーダーを手放したくなかったんだろう。
結局、会社も顧客も同じ。
悔しいけど……これが現実。
『α性』でなければ仕事の依頼はない。
『α性』でなければ人に信頼されない。
『α性』という肩書きがなければ『櫻井翔』には、なにも残らない。
「翔さん、どうしたんすか?」
ボーっとしていた俺の顔をいつの間にか覗き込んでいた風磨。
「ん?なんでもねーよ」
「いってぇ」
ペンとデコピンをお見舞してやった。
こうやって一仕事終えると、いつも同じ答えに辿り着く。
別の答えなんてないのに……
風磨が照らしてくれた一筋の光をまた求めてしまう。
「一仕事、終えましたし……乾杯しますか!」
「おう、そうだな」
「いいっすよ、たまには俺が奢りますから!」
財布からお金を取り出そうとすると、その手を風磨が止めた。
「なんか、企んでねーか?」
「ヒドイっすよ!日頃の感謝です!」
冗談で疑いの目を向けたのに、ぷーっと頬を膨らませて拗ねる。
ホント……可愛い後輩だよ。
「じゃあ、ありがたく受け取るよ」
クシャっと頭を撫でると照れくさそうに笑った。
「じゃあ、いってきまーす!」
玄関に走っていく風磨の後ろ姿を見送った。