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まだ見ぬ世界へ

第4章 幸福論【登場人物】

『Ω性』は劣ってるなんていうけど……

それは周りが何かをする機会を奪っているだけ。


特にΩ性を見下すα性は、やってないのに出来ないって決めつける。

そんなヤツに限って何も出来ないのに、親の七光りだったり周りの七光りで権力だけはあるんだよな。


風磨は本当に勉強熱心で、色んな事を教えるたびにどんどん吸収して自分のモノにしていった。


そんな風磨の姿を見て俺は嬉しかった。

俺を必要としてくれる存在が……


風磨もそんな俺の姿を見て嬉しかった。

自分に何かを与えてくれる存在が……


ずっと探してきた存在。

それが互いだった。


あっという間に一人前になった風磨の姿に少し寂しい気持ちはあったけど、『Ω性』だってやれば出来るんだって証明できた気がした。


誰にって話だけど……


爪が甘い時はあるけど、十分専業デイトレーダーとしてやっていける。

でもどんなに努力したって、その結果を見ようとはしない。

血のにじむような努力さえも……


それでも風磨が頑張って来れたのは、ずっとその姿を見守って応援してくれた存在がいたからだ。







「ただいま、戻りました。奮発して……グランデにしました!」

得意げに飲み物が入っているであろう紙袋を掲げる。

「ありがとう……って、風磨が買ったのか?」

風磨の隣にいる人に目線を向ける。

「へへっ、バレました?」

「どーも、お久しぶりです。翔さん」

ペコっと頭を下げるのは中島くん。


中島くんはずっと風磨を支えていた存在。

そして風磨と『番』の契約をしている人でもある。


「中島くんが来たって事は……」

「はい、ご察知の通りです」

中島くんの返事に風磨は顔を少し紅く染めた。

「でももし、仕事が大変だったら家でも……」

「お気遣い無用。そんな事させたら……なぁ?」

「俺たちの邪魔をする人は、いくら櫻井さんでも許しませんよ?」

「おー、こわっ!」

肩を抱き寄せられ、さらに真っ赤になる風磨を尻目に2人で笑った。

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