テキストサイズ

まだ見ぬ世界へ

第4章 幸福論【登場人物】

「ただし『番』の契約をするな。俺の子を作れなくなるからな」

この言葉に俺はある計画を思いついた。


神様はやっぱりいた。

神様が俺に悪魔を打ちのめすチャンスをくれたんだ。


「……はい、わかりました」

今まで俺はコイツの指示に従ってきた。

そこに……俺の意思はどこにもない。



でも初めて俺は……

自分の意思でコイツの指示に従おうと思った。



「お前は誰よりも優秀だ。期待してるぞ」

ポンと俺の肩を叩くと満足気に笑った。

「はい」


期待するだけ期待すればいい。

今まで苦痛でしかなかったそれが……活力になる。


俺はずっとコイツの操り人形だった。

だから今まで期待を裏切ったことはない。


親父にとって俺は従順な息子。



でもそんな従順な息子でも……牙を剥くんだよ!



だから必ず俺はお前の望み通り、この人をここへ連れてくる。

その時のお前はどんな気分だろう?

きっと今までに見せた事のない姿に違いない。



その時がお前に正義の鉄槌を下す時。



やっと自分のモノになったと思った瞬間……

長年の願望が叶うと思った瞬間……



お前の目の前で俺と『番』の契約をしてやる。


その時お前はどんな気分だろう?

きっとそれも今までに見せた事のない姿に違いない。


それはきっと……俺が1番みたいお前の姿。



そしてそんなお前にこう言ってやる。



『俺は子どもを作らない』と。



お前の汚れた血を少しでも受け継ぐ者なんて、この世に決して存在させない。

お前の願望なんて粉々に叩き潰してやる。


「早く……会えるといいですね、大野和也さんに」

「それは、お前次第だ」

「はい、頑張ります」

初めて聞くであろう積極的な俺の返事にまた満足気に笑った。



早く……早く、味わえばいいんだ。

人生を奪われた人達と同じ絶望を……



【→To next beta】

ストーリーメニュー

TOPTOPへ