まだ見ぬ世界へ
第4章 幸福論【登場人物】
プルルッ…プルルッ…
「はい、営業部相葉です」
目の前の電話が鳴り響くとスパっと頭が切り替わり、反射的に受話器を取った。
「相葉くんか、ちょうど良かった」
「は、はい」
俺は曖昧に返事をした。
……誰だ?
聞き覚えの無い声だが相手は俺を知っている。
画面表示は確か、内線100番。
企画部や総務部、システム部なら登録名が表示されるはず。
100番なんて……入社して一度も見た事が無い。
『今、時間はあるかい?』
「はい、大丈夫です」
動揺がバレない様に話を合わせる。
『じゃあ、社長室に来てくれるかな?』
「……はい?」
社長室って……
まさか……
顔からサーっと血の気が引いていく。
『その返事は……私が誰か、わかっていなかったのか?』
「し……失礼しましたっ!」
クスクス笑う声を耳にしながら俺は立ち上がって深々と頭を下げた。
『気にしないでくれ。滅多に電話なんてしないからね。じゃあ、待ってるよ』
「はっ、はい!」
返事をするとそっと受話器を置いた。
「相葉さん……どうしたんですか?」
「えっ?あ…いや、ちょっとね」
顔を上げるとみんなの視線は俺に向いていた。
「ちょっと、出てくる。すぐ戻るから連絡は控えてくれる?」
「はい、わかりました」
視線から逃げるように小走りで出た。
そしてちょうど来たエレベーターに乗り込むと、最上階のボタンを押した。
一体、なんの話だろう……
最後に社長と面と向かって会話をしたのは最終面接。
その時期にいくつかの会社の最終面接を終え、そしていくつかの最終面接が控えていた。
その全てに俺はある事実を告白をした。
自分が『ゲイ』だという事を……
その質問で俺は会社を試すんだ。
この会社はエントリーシートに書いた『α性』『β性』『Ω性』だけで合否を決めるのか。
そして耳にした『マイナス情報』で採用の合否を決めるのか。
情報だけで……合否を決めるのかを。
「はい、営業部相葉です」
目の前の電話が鳴り響くとスパっと頭が切り替わり、反射的に受話器を取った。
「相葉くんか、ちょうど良かった」
「は、はい」
俺は曖昧に返事をした。
……誰だ?
聞き覚えの無い声だが相手は俺を知っている。
画面表示は確か、内線100番。
企画部や総務部、システム部なら登録名が表示されるはず。
100番なんて……入社して一度も見た事が無い。
『今、時間はあるかい?』
「はい、大丈夫です」
動揺がバレない様に話を合わせる。
『じゃあ、社長室に来てくれるかな?』
「……はい?」
社長室って……
まさか……
顔からサーっと血の気が引いていく。
『その返事は……私が誰か、わかっていなかったのか?』
「し……失礼しましたっ!」
クスクス笑う声を耳にしながら俺は立ち上がって深々と頭を下げた。
『気にしないでくれ。滅多に電話なんてしないからね。じゃあ、待ってるよ』
「はっ、はい!」
返事をするとそっと受話器を置いた。
「相葉さん……どうしたんですか?」
「えっ?あ…いや、ちょっとね」
顔を上げるとみんなの視線は俺に向いていた。
「ちょっと、出てくる。すぐ戻るから連絡は控えてくれる?」
「はい、わかりました」
視線から逃げるように小走りで出た。
そしてちょうど来たエレベーターに乗り込むと、最上階のボタンを押した。
一体、なんの話だろう……
最後に社長と面と向かって会話をしたのは最終面接。
その時期にいくつかの会社の最終面接を終え、そしていくつかの最終面接が控えていた。
その全てに俺はある事実を告白をした。
自分が『ゲイ』だという事を……
その質問で俺は会社を試すんだ。
この会社はエントリーシートに書いた『α性』『β性』『Ω性』だけで合否を決めるのか。
そして耳にした『マイナス情報』で採用の合否を決めるのか。
情報だけで……合否を決めるのかを。