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まだ見ぬ世界へ

第5章 さよならの恋人

きっかけがあれば会話は弾む。

だだそのきっかげが本当に少なくなった。


レギュラーが1本も無かった時期を経験している俺たちは、そんな日々に戻らない様に与えられた仕事に全力で応える。

今では嵐としてのレギュラー以外に個々のレギュラーも抱えている。

そしてドラマに映画、それに伴った雑誌撮影。


いつからだろう……

あれ程嫌だと思っていた暇な時間が無くなった。

そして楽屋で時間を持て余すこともない。


でも時々、懐かしくなる。

特に内容の無い話をして笑って過ごす楽屋の時間が……


そんな事を望むことなんて贅沢なワガママなんだけどね。


「あっ、あのさ……」

リーダーが珍しく話を折った。


普通だったら『なんだよー』とか『タイミングおかしいよ』なんてツッコむところだけど……

切羽詰まったような声に俺たちは黙った。



「自分の……嵐としての活動を一旦終えたい」



今……なんて?


自分の中でリーダーの言葉を繰り返す。

でも何度繰り返したってそれが意味する事は変わらない。



漫画みたいに椅子から転げ落ちた相葉くん。

いつもと変わらず落ち着いている潤くん。

「なんで?」

冷静にリーダーにその理由を求めた翔くん。



どうしてか……

いつもの光景がここにはある。



「自由に生活を……1回してみたい」



リーダーが望んだことは俺の望んだこととは似て非なるもの。


だってそこに……

ずっと一緒にいると思っていた『嵐』という存在はない。


「あのね、俺……」

静まり返った部屋にいつもは無口なリーダーだけが話を続けようとする。


「わかったから……とりあえず今は、祝ってくれない?」

「そっ、そうだね」

「じゃあ、乾杯すっか」

「ニノ、誕生日……「「「おめでとう!」」」

真ん中で缶ビールをぶつけ合う。


「ニノ、ごめん……おめでとう」

「ホント、プレゼント奮発して下さいよ」


ねぇ……

俺もいつもと変わらずにいれてるかな?

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