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まだ見ぬ世界へ

第5章 さよならの恋人

「ホント……ありがとう」

俺たちに頭を下げるリーダー。

「ねぇ、頭を上げて?」

相葉くんに優しく促されると、リーダーは顔をあげる。

「全員で決めたことなんだから、俺たちに頭を下げる必要はないよ」

潤くんの言う通り、俺たちに謝る必要なんてない。


これは5人で決めたこと。

リーダーのせいでこうなったとは誰も思ってない。



だだ世間は……そうは思わないかもしれない。



「でもこれからが大変だからね」

「うん、そうだね」

翔くんの言葉に俺たちは大きく頷いた。


『活動休止』を決めたのは確かに5人だ。

でもこの発端はリーダーだということは誰の目にも明らかだし、そしてそれを俺たちも否定はできない。


『リーダーのせいで』って考える人だっているかもしれない。


「俺たちなら……大丈夫っしょ」

「うん、そうだね」

軽い口調で答える潤くんと、自信満々に返事をする相葉くん。

「5人で納得した結論であったって、ファンのみんなが納得することなんて不可能だと思う。だからこそ少しでもそこに近づけるように頑張らなきゃいけない」

翔くんの言葉は重い。


ファンのみんなやマスコミに発表した日から、カウントダウン『0』になるまで俺たちは全力で『嵐』として走らなければならない。

少しでも気を抜けば『休止するから』って言われる。


特にリーダーは……ね。


「でもさ、俺ららしくやろう?」

俺たちが楽しく活動しななければ、見ているファンも楽しくない。

そしてその姿こそが『嵐』なんじゃないかなって思う。

「うん、そうだね」

ニカッと笑う相葉さん。

「そうだな」

きっと潤くんはそのためにたくさんアイデアを考えているはず。

「最後まで……笑っていよう」

全てを包み込むような優しい笑みを浮かべる翔くん。

「うん……うん……」

目に涙を浮かべて何度も頷くリーダー。


これから色々あるけどさ……

俺たちは1番、リーダーに笑って欲しいよ。

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