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まだ見ぬ世界へ

第5章 さよならの恋人

ファンクラブサイト、そしてマスコミ各社に活動休止の発表をした。


最終決断してから数ヶ月。

その決断はごくごく一部の関係者にしか伝えていないし、もちろん俺たちもそんな雰囲気を出すことはなかった。

周りの驚く反応を見る限り、その決断を俺たちがしていたことに気がついた人はいなかったのだろう。


だって俺たちはいつもとなんら変わっていなかったから……


だだ『活動休止』を決めてから、そのことを隠して仕事をすることは複雑だった。

騙していたつもりはないし、もちろん手を抜いて仕事をしていたつもりはない。


でも決断から発表までの期間が数ヶ月あったは事実。

いくら俺たちの事情があったと説明したって、納得する人ばかりではない。


そしてもうすぐ始まる会見で詳細を話せば、その時期の俺たちの仕事ぶりを振り返る人もいるだろう。

特にリーダーは個人の仕事をセーブしていた。


『やっぱり』なんてことを言われかねない。


そして何より発端はリーダーである事は誰の目から見ても明らか。

会見ではリーダーに質問が集中するだろう。


そして矢面に立つ可能性も……


俺たちの気持ちを誰よりも早く伝えたい。

そう思ってマスコミ各社より先に報告したのはファンクラブサイトの動画。


でもその動画で伝えられることには限界がある。

そしてファンのみんなに伝わることにも限界がある。



だからこそ俺たちは会見することを決めた。



集まった記者さんが投げかけてくる質問はきっとファンのみんなが聞きたいことに違いない。

だからこそ俺たちはその質問に真正面から向き合って、ちゃんと答えたい。

いや……答える責任がある。


俺たちが会見で発信する言葉。

俺たちが会見で見せる表情。


全てを聞いて、見て欲しいって思う。


そして伝わって欲しい。

これが『嵐』が導きたした結論だって。


絶対にリーダーのせいだなんて……言わせない。

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