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まだ見ぬ世界へ

第5章 さよならの恋人

会見の時間まであと少し。

時間の区切りはあるが、会見の会場は事務所。

延長したってなんら問題はないから、投げかけられる質問には全て答えようと決めた。

長丁場になる可能性もあるから、一応用を足しておこうと立ち上がる。

「ニノ、どこ行くの?」

「んー、トイレ」

いつもなら俺の行動に声をかけることのない相葉さん。


周りが気になるっていうか……落ち着かないんだろうな。


そしてそれは翔くん、潤くんも同じだと思う。

もちろん俺も例外じゃない。


なんか……ライブ前の緊張感に似てるかも。


「あれ?リーダーもさっきトイレって言って出たよね?」

「そう言えば、戻ってきてないね」

潤くんが返事と同時に楽屋のドアを見たけど、開く気配はない。

「ついでに見て来るよ」

「あっ、ちょっと待って」

楽屋を出ようとしたら翔くんに止められた。

「改めていう事じゃないとは思うんだけどさ……たぶん、いや絶対に大野さんに質問が集中すると思う」

していた事をやめて翔くんの言葉にみんな耳を傾ける。

「フォロー、みんなでしような」

「うん、そうだね」

よしっと気合を入れるように拳を握った相葉さん。

「あなたは自分のことをちゃんとしてください。いつもとんでもないところでミラクル起こすんだから」

「ちょっと!それ、失礼じゃない?」

「事実です」

「まぁまぁ、いつも通りにしてたら問題ないんじゃない?」

潤くんの言葉に誰もが納得したと思う。


いつも俺たちは意識することなく、そうしてきた。

フォローとさえ思わず、それが当たり前だった。


「嵐らしく……だよね」

「そうだな」

「うん」

「そういうこと」


自分で言ってるけど、それがどんな感じかはわからない。


でもきっと……大丈夫。


「とりあえず、トイレとリーダーの様子見て来るわ」

楽屋を出ると、小走りでトイレに向かった。

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