俊光と菜子のホントの関係
第2章 『俺と菜子』
「ねーねー俊光君、どっちがいいと思う?」
雑貨屋にて、菜子がニコニコ笑顔で、イエローとピンクの二個のマグカップを同時に掲げる。
「んー……どっちでも」
ニコニコに対して、俺が気だるさをあらわにして答えると、菜子は頬をモチのようにぷぅと膨らました。
「あーもうっ。またそれー?」
「それはこっちのセリフ。そうやって俺に聞いてばっかりでさ。ちょっとは自分で決めろよな」
「いいじゃん、聞きたいのぉーっ」
「はいはい。じゃあ……イエロー」
「イエローかぁ……。うん、確かにいいかも。じゃあイエローにするね!」
と、嬉しそうにレジへパタパタと駆けて行った。
はぁ……良かった。菜子のこと、やっと普通に見れるようになった。
あの服装にも慣れてきたし、ドキドキしてたのも治まった。
やっぱり俺にとって菜子は妹なんだ、うん。
妹への良からぬ想いがギリギリなところで留まってくれて、心からホッとしていると、
「お待たせー。次行こ!」と、その妹から容赦ない一言が。
「えっ、まだあんの?」
「まだあんの!」
「うわーマジかよー」
服屋に靴屋に、ここの雑貨屋の計三件。てっきりこれで終わりかと思ったのに。いくら可愛い妹でも、買い物に興味ない俺には、さすがに疲れるんだけど……。
「そんな嫌そうにしないでよー。次で最後だから。ね?」
「わかったよ……しょうがねぇなー」
「わーいありがとー! 行こ行こっ!」
菜子が、やれやれと言う俺の腕を引っ張って歩き出した。
菜子、本当に楽しそうにしてる。
そんな無邪気な顔を見せつけられると、何だかんだで許したくなっちゃうんだよなー。そういうとこがコイツの強みだ。
ま、いいか。こうなったらとことん付き合ってやろ。