俊光と菜子のホントの関係
第7章 『少しだけでも……』
――お昼休み。教室で友達みんなと話していたら、スマホからピロリンと音がした。
あっ。俊光君から返信きたっ。
さっき教室で撮ったヤツ送ったから、それの返事かも。どれどれ……? あ、珍しい。画像送ってきてる。
と思ったら、そのあとに続いているコメントで、
〈悪い。智樹のヤツが勝手に送った〉
と、言い訳をしていた。
なるほど、どうりでね。だって、俊光君はまったくと言っていいほど画像を送らないもん。それに画像を見ると、智樹さんが撮ったっていうのがすぐにわかる。
カメラに向かって、ニッとして歯を見せて笑う智樹さんと、たぶん智樹さんにいきなり肩を組まれて驚いてる様子の俊光君。
二人とも、ホント仲がいいー。えへへ、画像保存しちゃおーっと。
めったにない貴重なショットをゲット出来て嬉しー。智樹さん、また勝手に送ってくんないかなぁ、なんて。
「ん? 菜子、NINE?」
隣にいた明里が声をかけてきた。明里は高校に入っても、アゴまでのフワフワボブがトレードマーク。
「うん。俊光君から(送ったのは智樹さんだけど)画像が来たんだー」
「へぇ。どんな画像?」
「これなんだけど……」
あれ? 明里、画像を見た途端にフリーズしちゃった。
「ちょっと菜子っ!」
「ひゃあ、何!?」
明里ってば、急に声を上げるから、私ビックリして椅子から飛び上がっちゃったじゃん。
「この俊光さんと一緒にいる人、誰!?」
明里が何やら興奮状態で、無我夢中で智樹さんのところを人差し指でトントン叩きながら、攻めるように訊いてくる。
「えーと……その人は久我智樹さんていって、俊光君の高校からの友達だけど……」
「高校からぁ!? 何でもっと早く教えてくんなかったのよ!」
「だってぇ、俊光君の友達だし、別に言うほどのことじゃないでしょう?」
「言うほどのことよっ! こんなイケメンを知っておきながらワタシに黙っていたなんて、一体どういう神経してんのっ!」
ひゃーっ、怒りが倍増したぁーっ。このままだと明里が般若になりそうで怖いから、「なんかごめんなさーい……」と謝っておいた。
そっか。明里って智樹さんみたいな人が好きなんだ。そういえば、明里の好きな俳優さんも、智樹さんみたいな塩顔だったということを、今思い出したよ。