俊光と菜子のホントの関係
第7章 『少しだけでも……』
「明里ー。さっきから何騒いでんのぉー?」
他の友達三人が、こっちに視線を向けてきた。
「菜子のNINEがどうかした? ……キャー! 何これー! この塩顔の人、超イケメーン!」
「えー、見せて見せて! ……ホントだーカッコいい! しかも、菜子のお兄さんと肩組んじゃって! イケメン同士でラブラブなんて、マジで萌えるぅー!」
「ちょっとぉー! ワタシが先に見てたのにぃー!」
わーん。四人が私のスマホを勝手に争奪戦してるしー!
「もーうっ、スマホ返してよぉー。画像ならグループに送るからぁ。ね?」
と説得したら、やっと返してもらえた……。はい。送信しましたよっと。
したら全員、ウットリした表情でそれぞれのスマホにかじりつく。スゴい……。二人の画像で、騒がしかった四人が一気に大人しくなっちゃった。
まぁいいや。その隙に、私もまた『あの画像』見ちゃおーっと。
画像ファイルを開いてっと…………あった。
あの画像ってのは、大学の入学式当日に私が自撮りした、スーツ姿の俊光君とのツーショットなんだー。
一緒に撮るのが嬉しくて笑顔全快の私。と、私からのツーショットのお願いに『しょうがねぇなぁ……』と言って面倒臭そうにしながらも、柔らかく笑みを浮かべて一緒に写ってくれた俊光君。
はぁー……。俊光君のスーツ姿、何度見てもカッコいい。『いい男は三日であきる』ってよく言うけど、俊光君は、三日経っても三週間経っても三ヶ月経っても三年以上経っても全然あきてないし、この先も一生あきることないよー。えへへ。私もみんなみたいにウットリしちゃう。
なんか、こうして画像を見ていると……
俊光君が常にそばにいるみたい。キャー、なんちゃって!
こんなツーショットが簡単に撮れるのって、妹の特権だよね。
実際恋人同士にはなれないけれど、こうして俊光君と仲のいい兄妹でいられるから、私幸せー。
……幸せだけど、『恋人同士にはなれない』というところで、どうしても胸の奥がズキッと痛むのは否めないなぁ。
しょうがないんだよ、こればかりは。なんて悄気たりしちゃうって……私ってば、悪い妹だよね。
俊光君と兄妹ってのが嫌なワケじゃないのに――今の私は、兄妹の関係だけじゃスゴく物足りなく感じちゃってるよ……。