テキストサイズ

俊光と菜子のホントの関係

第7章 『少しだけでも……』


 ……そうだ。明里のこと、どうしようかなぁー。


(菜子お願いっ。いつか、その智樹さんと会う機会を作って!
 いい? 俊光さんと菜子を含めて四人だけでよ? あの三人は抜きでね。じゃないと、智樹さんを独占できないからっ)


 あんなに智樹さんのこと気に入るなんて……。


(いい人だけど、結構チャラいよ?)

 って教えても、

(いいのっ。別に付き合いたいとかじゃなくて、ワタシはただお近づきになりたいだけなの!)

 なんて言うし。


 まぁいいかぁ。明里は、会えればそれでいいみたいだから。そしたら、なるべく早く会わせてあげたいよね?

 でも機会を作るって、一体どうやって作ればいいんだろう。私、そういうのしたことないんだけどなー……。

「うーーん……」と腕を組んで考えていたら、


『……さて。続きましては、市で開催されます、夏の風物詩・花火大会の話題です』


 と、テレビからの音声が耳についた。


 花火大会?


 テレビに目を向けると、七月始めに開催されることと、何発打ち上げるかなどの詳しい内容を、女性アナウンサーさんが聞き取りやすい声で丁寧に伝えている。


「へぇー。七月初めだなんて、夏の花火大会にしては早い方よねー」

「この花火大会の会場って、うちから近いじゃないか。最寄り駅から何駅もかからないぞ」


 お母さんとお父さんは、テレビを見ながら言った。


 ふーん。花火大会かぁ……


 あっ!


 私の頭の上で、電球が明るく付いて、ピンときた。


「こっ……これだぁーーーーっ!」


 いきなり立ち上がって、テレビに指を差しながら声を張り上げちゃったら、三人共が一斉にビクついた。


 ふふーん。いいこと思い付いちゃったー!


「俊光君っ!」

「っ、はっ?」


 視線をテレビから俊光君に向けた。

 俊光君は、まだビックリしてるみたいで目が開きっぱなし。


 私はそんな俊光君を見つめたまま――



「一緒に花火大会行こっ!」



 と、ハリキッて切り出した。



「……え? 花火大会って……これ?」


 俊光君がテレビに指を差す。



「そうっ、これっ! 私と俊光君とー……

 明里と智樹さんの四人でっ!」



「……はぁ!?」










ストーリーメニュー

TOPTOPへ