俊光と菜子のホントの関係
第7章 『少しだけでも……』
「……俊光さん、どうしたんですか?」
明里ちゃんに様子を窺われて、ハッとした。
ヤバい。いい加減、何か言わないとっ。見惚れてるのがバレるぞ。
「あ、いやっ……えーっと……」
「?」
「そのー…………」
うわ。
何を言っても気持ちを見透かされそうで、何にも言えない。
菜子も、俺の言葉を待ってるかのようにジッと見てくる。
いつもの感じで言えればいいのに、意識しすぎてどうしたらいいかわかんねぇよ。
明里ちゃんにも怪しまれそうだ。いや、すでに怪しまれてるかもしれない。
ま……マジでヤバい――
「いいねぇー二人とも! スッゲー可愛いじゃん!」
と、軽い感じで褒めたのは、もちろん俺ではない。
智樹っ……。
その智樹は笑顔を絶やさず、戸惑いまくりの俺を遮るように二人の前へ出た。