俊光と菜子のホントの関係
第7章 『少しだけでも……』
「ごめんなさい、俊光さんっ。ワタシがしっかり捕まえておけば……」
「いや、明里ちゃんは悪くないって。
……智樹。俺、菜子を見つけてくる。明里ちゃんは、智樹と一緒に先に行ってて?」
「はっ……はいっ、喜んでっ」
ぷっ。明里ちゃんって、わかりやすいところがあるよな。
「俊光、気をつけろよ」
「あぁ。わかってる」
俺は、途中で通りかかったトイレの場所を思い出しながら、人混みを縫って急いで向かった。
誰も菜子に、変な気を起こすなよ。
誰も菜子に、手を出したりとかすんなよっ。
……とかいって、妹に惚れたり欲情しかかったりしている俺も、人のことを言えたもんじゃないけど。