俊光と菜子のホントの関係
第8章 『かけがえのない兄妹』
「私と俊光君ってさぁ……兄妹なのに――
一度も『似てる』って言われたことがないんだよねー」
そうなんだよ。私と俊光君は『似てる』じゃなくて『似てない』って言われることの方が多い……
ううん。多いというか、それしか言われたことがない。
それぐらい、顔が全然違う。
「……うーん、そうねぇー。菜子はあどけなくて、俊光さんは整った顔立ちだもんねー」
「あの、大学生のお兄さんだよね? 確かに、前に画像見せてもらった時、似てないなって思ったんだよなー。
でも、あれだろ? 男はお母さん似で、女はお父さん似っていうヤツ。だいたいそんなパターンが多いよな。ま、オレ達はどっちにも均等に似てるけど」
「うん……それもあるかもね」
そうにしても、私も俊光君も、少しぐらいどっちの要素があってもいいような気もするのに、ホントにハッキリと別れてるんだよね。
俊光君はお母さんにしか似てない。
私はお父さんにしか似てない……てな感じで。