俊光と菜子のホントの関係
第8章 『かけがえのない兄妹』
「まぁ、菜子と俊光さんだけに限らず、全然似てない『きょうだい』もいるもんよ? だから、別に珍しいことじゃないと思うけど」
「そう、だよねぇ……」
「……菜子ちゃん、どうかした?」
兄妹なのに似てないって話をしたら、昔のことを思い出しちゃって、
あの頃の『寂しい』と思っていた気持ちが、ちょっぴり甦っちゃった。
「あのね……私昔、そのことでよく男子から、意地悪くからかわれてたことがあったんだー」
「そのことって……兄妹なのに似てないってことで?」
明里が確認するように訊いた。
「うん……。私と俊光君の顔があまりにも違いすぎて、『兄妹じゃないだろー』とか言ってバカにしてきて」
「あー、男子ってガキだからなぁー……オレも、そういうとこあったかもだけど。
じゃあ菜子ちゃんは、それで泣かされてたとか?」
「ううん。すごくムカついたからビンタしてやったんだー。そしたら取っ組み合いのケンカになっちゃって」
「え……菜子ちゃんが、男子と取っ組み合い?」
晃君が意外そうに目を見開く。
「……あのねー、晃。これは意外なことじゃないの。菜子はそういうコなの。中学の時でも自分から男子を殴って、ケンカをふっかけたんだから」
うん、明里の言うとおり。
「マジか……。菜子ちゃんって強いんだねー……」
「えへ。私ってカッとなると、つい手が出ちゃうみたい」
引いてるっぽい晃君に、おどけてみせたりした。