俊光と菜子のホントの関係
第8章 『かけがえのない兄妹』
*
――小学三年生と小学六年生。
「おい、池崎ー」
出たっ。悪ガキ三人組。
私の前に立って、道をふさいできた。
やだウザーい。学校の帰りにまで現れないでほしいんだけど。
「もうっ、何よっ!」
「お前と兄ちゃんって、全然似てねぇんだなー。
兄ちゃんはカッコいい顔してんのに、お前はクソガキみたいな顔しやがって。ホントに兄妹なのかよ」
「はぁ? クソガキって……あんた達の方がクソガキじゃんっ!
それにっ……私とお兄ちゃんは、ホントに兄妹だもんっ!」
「全然似てねぇクセに、兄妹とか言ってんじゃねーよ。オレと姉ちゃんだって、ちょっとぐらいは似てるんだぜ?」
「うっ……」
言い返したかったのに、ぐっとノドがつまったみたいになって言えなかった……。
私だって……私だって、お兄ちゃんと顔が似たかったもん。
だって、いつもみんなから『似てないよね』って言われると、私とお兄ちゃんは兄妹じゃないみたいに思えちゃって、さびしい気持ちになるから……。