俊光と菜子のホントの関係
第9章 『勝手にジェラシってる』
「だって、私は3月3日生まれだよ? 暖かな春に生まれたんだから、寒いのが苦手なのはしょうがないことなのっ」
「それって関係あんの?」
「関係あんのっ!」
「いや、ないだろ。母さん8月生まれなのに、寒いの得意じゃん。今日だって家の中で半袖だったろ?」
「お母さんは極度の暑がりだもんっ。参考にならないよぉー」
お母さんはやたらと代謝が良くて、真冬でも薄手のコートで全然余裕。
俊光君もお母さんのそういうところが似てて、グレーのジップパーカーを羽織って中は半袖のTシャツを着てるだけ。
私なんて、セーラー服の中に長袖のインナーを着て、更に上にはカーディガンもプラスしてるってのにー。
うぅ、手もなんとなく冷たくなってきちゃってる。はぁーと息をかけても温まらないよぉー……
あ、そうだっ。
これを理由にして、『また』俊光君の手を握っちゃおーっと。
私はドキドキしつつ、一緒に歩く俊光君の左手を――勝手にギュッと握った。
瞬間、俊光君がパッとこっちを向いた。