俊光と菜子のホントの関係
第9章 『勝手にジェラシってる』
――つい菜子に『うっとうしい』って言ってしまった。
うっ……菜子が見るからにショックそうに顔を歪めてる。それが俺の罪悪感を強くさせた。
だっ……だってしょうがねぇだろっ。後輩のコとのことを勘違いされたんだからっ。寄り添い合ったって、どう見たらそうなるんだよっ。俺だって傷つくぞっ。
俺が好きなのは、妹のお前だっつーのにっ……。意図的に他の誰かと寄り添い合うとか、ないからっ。
「っ、によっ……」
ヤバッ。菜子が泣きそうだっ。と焦ったが――
「何よぉっ……誤解される方が悪いんでしょー!?」
逆ギレかよっ!?
「それにっ……俊光君こそ、私と晃君とのことをあんな風にチクチクとイヤミ言うなんてっ。
そんなお兄ちゃんって、ハッキリ言って『キモい』んだからねーっだ!」
「なっ……!」
キモイ……キモイ……。
菜子は泣くどころか逆ギレし、『キモい』という言葉のナイフを投げつけ、俺の胸にドスッと突き刺した。痛い。
ヤバ……。俺、思ってた以上にすっげーショックを受けてる。
妹に『キモい』と言われてもなお爽やかでいられた祐太って、どんだけ心臓が強いんだよ。
俺は心が折れそうになってるってのに……。